1Gbpsの回線を契約していて、PCもギガビットLAN対応。それなのに有線LANで速度を測ると、いつも90Mbps前後で頭打ちになる。
この症状では、いきなり回線会社やWindowsを疑うより、まずPCとルーターの間が何Mbpsでリンクしているかを確認するのが近道です。
有線LANは、PCだけで速度が決まるわけではありません。
途中に100Mbpsまでの機器や、ギガビット通信を成立させられないケーブル区間が1つでもあれば、そこがボトルネックになります。
この記事では、原因を当てずっぽうで探すのではなく、上から順番に条件を変えて切り分けます。
まず結論:最初にWindowsの「リンク速度」を確認する
速度テストの数字と、LANそのもののリンク速度は別です。
たとえばFAST.comで90Mbpsしか出ていなくても、それだけでは「LANが100Mbpsで接続されている」とは断定できません。
まずWindowsが、PCと接続先の間を100Mbpsとして認識しているのか、1Gbpsとして認識しているのかを確認します。
PowerShellなら、次のコマンドで確認できます。
Microsoft Learnでも、Get-NetAdapter はネットワークアダプターの基本プロパティを取得するコマンドとして案内されています。
表示された有線LANアダプターの LinkSpeed を見ます。
PCから接続先までの有線LAN区間のどこかで、100Mbpsリンクになっています。この記事の手順でケーブル・ポート・途中機器を確認します。
LinkSpeed が 1 Gbps以上
有線LANリンク自体はギガビットで成立しています。速度テストが100Mbps前後でも、回線・VPN・接続先・バックグラウンド通信など別の原因を考えます。
ネット全体が遅い場合は、先にテレワークのネットが遅い原因を回線・Wi-Fi・ルーター・PCから切り分ける方法も確認してください。
100Mbpsリンクなら、この順番で確認する
100Mbpsリンクになっていることが分かったら、設定をいじる前に物理経路から確認します。
1. LANケーブルを両端とも差し直す
↓
2. 別のLANケーブルで試す
↓
3. 途中のスイッチ・壁内配線・ドックを外して直結する
↓
4. ルーター・スイッチ・USB-LAN・PCの各ポート仕様を確認する
↓
5. WindowsのLANアダプター設定とドライバーを確認する
この順番にすると、「何を変えたら1Gbpsへ戻ったか」が分かりやすくなります。
1. まずLANケーブルを差し直す
初歩的ですが、最初にやる価値があります。
PC側とルーター側のLANケーブルを一度抜き、奥までしっかり差し直します。
MicrosoftもWindowsのEthernetトラブルシューティングで、まずルーターとPCの両方にケーブルが確実に接続されているか確認するよう案内しています。
特に、以前は1Gbpsだったのに急に100Mbpsになった場合は、
- ケーブルが少し抜けかけた
- コネクタ部分へ力がかかった
- 模様替えや掃除でケーブルを動かした
- ドッキングステーションをつなぎ直した
といった、物理的な変化も疑ってください。
速度テストをする前にLinkSpeedを見る
差し直した後は、もう一度 Get-NetAdapter を確認します。
ここで100Mbpsから1Gbpsへ変われば、インターネット速度を測る前に有線区間の改善を確認できます。
2. 別のLANケーブルで試す
次に、手元に別のLANケーブルがあれば交換してみます。
これも非常に有効な切り分けです。
Microsoftも、別のEthernetケーブルで接続できるか試し、改善するなら元のケーブルに問題がある可能性があると案内しています。
「Cat5eなら1Gbpsに対応できる」が、表記だけで安心しない
家庭や一般的なオフィスで1Gbpsを使うなら、Cat5e以上の正常なLANケーブルで対応可能です。
そのため「1Gbpsにするには必ずCat6Aへ買い替えなければならない」という話ではありません。
一方で1000BASE-Tのギガビット通信では、ケーブル内の4対のツイストペアを使用します。Ciscoの配線資料でも、1000BASE-Tでは4対の配線が示されています。
そのため、
- ケーブル内部の一部が断線している
- コネクタの圧着や接触に問題がある
- 壁内配線や中継コネクタの一部に問題がある
といった状態では、ギガビットのリンクが成立せず、低い速度で接続されたりリンク自体が不安定になったりすることがあります。
カテゴリ表記だけでなく、別の正常なケーブルへ交換したらどうなるかを見るのが一番分かりやすいです。
Cat5e・Cat6・Cat6Aの違いは、今後の専用記事で詳しく整理します。
3. スイッチ・壁内配線・ドックを外して「直結」で試す
LANケーブルを交換しても100Mbpsなら、途中にある機器を減らします。
たとえば普段が、
ルーター → 壁のLAN端子 → スイッチングハブ → ドッキングステーション → PC
という構成なら、可能な範囲で、
ルーター → LANケーブル → PC
まで簡単にします。
これで1Gbpsになるなら、外した区間のどこかに原因があります。
1台ずつ戻すと原因を特定しやすい
直結で1Gbpsになったら、
- スイッチを戻す
- 壁内配線を通す
- ドックやUSB-LANを戻す
のように1つずつ元へ戻します。
100Mbpsへ戻ったところが、次に詳しく確認する場所です。
この「条件を1つだけ変える」切り分けは、PCだけネットが遅いときの確認方法でも使っている考え方です。
4. ルーターやスイッチの「LANポート」が1Gbps対応か確認する
見落としやすいのが、途中機器のポート仕様です。
製品仕様に次のような表記がないか確認します。
| 仕様表記の例 | 意味 |
|---|---|
| 10/100BASE-TX | 最大100Mbpsクラス |
| 10/100/1000BASE-T | 1Gbpsに対応 |
| 2.5GBASE-T | 2.5Gbpsに対応 |
古いスイッチングハブでは、LANポートが10/100Mbpsまでの製品もあります。
また、ルーターによってはポートごとに仕様が違うことがあります。WAN側だけ高速で、LAN側は別の速度という構成もあるため、「ルーターが1Gbps対応」だけではなく、実際にPCを挿しているLANポートの仕様を見ます。
Wi-Fiルーターの選び方でも、WANとLANを別々に確認する理由を整理しています。
5. USB-LANアダプターやドッキングステーションも確認する
LAN端子のないノートPCでは、USB-LANアダプターやドッキングステーション経由で有線接続していることがあります。
この場合はPC本体の性能だけでなく、そのアダプターやドックのLAN仕様が上限になります。
たとえば製品仕様が、
- 10/100Mbps Ethernet
- 100BASE-TX
までなら、1Gbpsにはなりません。
1Gbpsで使いたいなら、少なくともEthernet側が1000BASE-T / Gigabit Ethernet対応かを確認します。
さらに、ドックやUSBハブを何段も経由している場合は、いったんUSB-LANアダプターをPCへ直接つなぐと切り分けやすくなります。
Microsoftも、PCにEthernetポートがない場合はUSB-Ethernetアダプターを選択肢として案内しています。
USB-Cドックをまとめて使いたい場合は、仕事用USB-Cドッキングステーションの記事も参考にしてください。ただし、この記事の症状を直すためだけに先に買い替えるのではなく、まず今使っている機器の仕様を確認するのが先です。
6. PC側のLANポート・ネットワークアダプターも確認する
ルーターからPCまで直結し、正常なケーブルでも100Mbpsなら、PC側を確認します。
デスクトップPCのオンボードLAN、ノートPC内蔵LAN、USB-LANアダプターなど、それぞれ仕様が違います。
PCメーカーやLANアダプターの公式仕様で、
- 10/100Mbps
- 10/100/1000Mbps
- 1GbE
- 2.5GbE
などの表記を確認します。
古いPCや古いUSB-LANアダプターでは、そもそも100Mbpsまでの場合があります。
7. 「Speed & Duplex」はむやみに1Gbps固定にしない
ネット上の対処法では、Windowsのネットワークアダプター設定から Speed & Duplex を「1.0 Gbps Full Duplex」に変更する方法を見かけます。
しかし、最初から1Gbpsへ固定するのはおすすめしません。
IntelはGigabit Ethernetアダプターについて、Speed & DuplexはAuto Negotiationが正しい基本設定と案内しています。ドライバーによっては1.0 Gbps Full Duplexという固定項目自体がなく、Auto Negotiationによって1Gbpsリンクを成立させるものもあります。
まず確認するのは、
- Speed & Duplexが誤って100Mbps固定になっていないか
- 通常はAuto Negotiationになっているか
です。
Auto Negotiationでも100Mbpsなら、設定より物理経路を疑う
PCと接続先の両方が1Gbpsに対応していて、Auto Negotiationなのに100Mbpsでリンクしている場合は、LANケーブル、コネクタ、途中機器、ポートの仕様をもう一度確認する価値があります。
設定で無理に1Gbpsへ見せるのではなく、1Gbpsで正常にネゴシエーションできない理由を探すのが本筋です。
会社PCでは、ネットワークアダプターの詳細設定を勝手に変更せず、必要に応じて情報システム部門へ相談してください。
8. 以前は1Gbpsだったのに突然100Mbpsになった場合
「買ったときからずっと100Mbps」と「昨日まで1Gbpsだったのに突然100Mbps」は、少し見方が変わります。
以前は同じ構成で1Gbpsだったなら、次を優先して確認します。
- ケーブルを抜き差ししていないか
- ケーブルやコネクタに強い力がかからなかったか
- ルーターやスイッチの接続ポートを変えていないか
- ドッキングステーションやUSB-LANを追加・交換していないか
- Windows Updateやドライバー更新の後から変わっていないか
- LANアダプターの詳細設定が変わっていないか
Microsoftも、最近の更新後にEthernet接続が正常に動かなくなった場合はネットワークアダプタードライバーの確認・再インストールを検討する手順を案内しています。
ただし、ドライバーの削除は最初にやる操作ではありません。
まず別ケーブル・別ポート・直結を試し、物理区間が正常なのにそのPCだけ100Mbpsまで絞れてからPC側へ進む方が安全です。
9. 別のPCにつなぐと切り分けがかなり進む
同じLANケーブルを、1Gbps対応の別PCへつなげるなら非常に有効です。
結果が、
別PCは1Gbps / 問題のPCは100Mbps
なら、問題のPCやLANアダプター側を優先して確認できます。
反対に、
別PCでも100Mbps
なら、PCより前のケーブル・ルーター・スイッチ・壁内配線などを疑いやすくなります。
MicrosoftもEthernetのトラブルシューティングで、別PCを同じネットワークへ接続して原因範囲を絞る方法を案内しています。
LinkSpeedが1Gbpsなのに速度テストが100Mbps前後なら?
ここは大事です。
WindowsのLinkSpeedが1Gbpsになっているなら、少なくともPCと直近の接続先とのEthernetリンクは100Mbpsで頭打ちではありません。
この場合は、
- インターネット回線や契約
- ルーターのWAN側
- VPN
- 会社側の通信経路
- 速度測定先
- PCのバックグラウンド通信
- 回線混雑
など、別の原因を見ます。
つまり、速度テストで90Mbpsだったからといって、LANケーブルを何本も買い替えれば直るとは限りません。
まずリンク速度とインターネット速度を分けて考えるのがポイントです。
90〜95Mbps前後で頭打ちになるのはなぜ?
100Mbpsでリンクしている環境では、実際の速度テストが100Mbpsぴったりになるとは限りません。
通信には制御情報などのオーバーヘッドがあるため、実測では90Mbps台など、100Mbpsを少し下回るところで頭打ちになることがあります。
そのため、
- 何度測っても90Mbps台前半〜後半
- WindowsのLinkSpeedも100Mbps
という組み合わせなら、100MbpsのEthernetリンクがボトルネックになっている可能性が高いと考えられます。
反対にLinkSpeedが1Gbpsなら、90Mbpsという数字だけでLAN区間を犯人にしないでください。
まとめ:100Mbpsしか出ないときは「交換」より先に区間を減らす
有線LANが100Mbpsで頭打ちになると、LANケーブルやルーターをすぐ買い替えたくなります。
でも先にやることは、どこまで1Gbpsで成立しているかを確認することです。
順番はシンプルです。
- WindowsのLinkSpeedを確認する
- ケーブルを差し直す
- 別の正常なLANケーブルで試す
- スイッチ・壁内配線・ドックなど途中機器を外して直結する
- 各LANポートとUSB-LANの対応速度を確認する
- PC側のLANアダプターを確認する
- Speed & Duplexは原則Auto Negotiationを確認する
- それでも100Mbpsなら別PC・別ポートで原因範囲を狭める
特に、途中に1台でも100Mbpsまでの機器がある、またはギガビット通信を正常に成立させられない区間があると、そこが全体の上限になります。
Wi-Fiと有線LANのどちらを使うか迷っている段階なら、テレワークではWi-Fiと有線LANのどちらがいいかもあわせてどうぞ。
有線だから必ず速いのではなく、回線からPCまでの経路全体が目的の速度に対応していることが大切です。









