数人で1台のPCからWeb会議へ参加するとき、ノートPCの内蔵マイクだけでは少し使いづらいことがあります。

PCの近くにいる人の声は拾えても、反対側に座っている人は声が小さくなる。相手の声を全員で聞こうとすると、PC自体の置き場所にも気を使います。

そんな場面で使いやすいのが、テーブル中央へ置けるスピーカーフォンです。

マイクとスピーカーが1台にまとまっているため、複数人で同じ場所から参加するWeb会議をシンプルにできます。

ただし、スピーカーフォンは「マイクが多いほど正解」ではありません。

共用品ならUSBで挿すだけの方が分かりやすいことがあります。逆に会議場所を移動するならBluetoothとバッテリーが便利です。周囲の声が多い場所では、広く集音できることがかえって困る場合もあります。

この記事では、現在購入できる製品から役割の違う4台を選びました。

先に結論:スピーカーフォンは「どう接続するか」と「どこで使うか」で選ぶ

今回の4製品は、向いている使い方がかなり違います。

製品 向いている使い方 接続 集音の目安 バッテリー
Jabra Speak2 40 共用PCで接続を簡単にしたい USB-C / USB-A 最大2.3m なし
Anker PowerConf 持ち運び・Bluetoothを使いたい USB-C / Bluetooth 6マイク・360° 最長24時間
I-O DATA TC-SPRC100 周囲の状況に合わせて集音範囲を変えたい USB / Bluetooth LOW推奨1m、HIGH推奨2m 6時間
YAMAHA YVC-200 1〜4人程度の小規模会議で使いたい USB / Bluetooth / NFC 推奨1m、最大2m 10時間

共用品としてPCへつないで使うだけなら、Bluetoothを持たないJabra Speak2 40はむしろ分かりやすい選択です。

会議室や自宅、出張先などへ持っていき、スマートフォンとも接続したいならAnker PowerConf。

オープンスペースなどで「周囲の声を拾いすぎたくない」ときは、集音範囲をLOW / HIGHで切り替えられるI-O DATA TC-SPRC100が特徴的です。

YAMAHA YVC-200は、メーカーが1〜4名程度の打ち合わせ向けとして案内している小規模会議用モデルです。

スピーカーフォンを選ぶ前に確認したい5つのポイント

1. 共用品ならBluetoothよりUSB接続がラクなことがある

Bluetoothはケーブルが不要で便利ですが、複数人で1台を共有すると少し話が変わります。

以前接続した端末が近くにあると、どのPCやスマートフォンにつながっているのか分かりにくくなることがあります。

Jabra Speak 510を実際に使ったときも、以前Bluetooth接続した端末が近くにあると、その端末の音が流れることがありました。

これはJabraだけの問題ではなく、Bluetooth機器を共用すると起こりうることです。

そのため、会議のたびに別の人が使う共用品なら、

「PCへUSBを挿す → 会議アプリで選ぶ」

くらい単純な運用の方が分かりやすいことがあります。

今回のJabra Speak2 40はBluetooth非対応ですが、USB-CとUSB-Aの両方を1本のケーブルで使えます。共用品として考えると、この割り切りは弱点だけではありません。

一方、I-O DATA TC-SPRC100はBluetooth対応ながら、ペアリング済み端末へ勝手に自動接続せず、使う端末側から本製品を選択して接続する仕様です。共用会議室での誤接続を避けるための考え方として面白い設計です。

Jabra Speak 510を実際に使って感じた便利さやBluetooth共用時の注意点は、Jabra Speak 510を実際に使った記事で詳しくまとめています。

2. 「何人まで」より集音範囲と置く場所を見る

スピーカーフォンの商品説明では、対応人数が書かれていることがあります。

ただし、実際の聞こえ方は部屋の広さ、机の形、反響、空調音、参加者との距離でも変わります。

人数だけで決めるより、

  • テーブル中央から一番遠い人まで何mくらいあるか
  • 個室か、周囲にも人がいるオープンスペースか
  • 全員が同じテーブルを囲むのか

を確認した方が選びやすくなります。

Jabra Speak2 40のマイク収音範囲は最大2.3m。

YAMAHA YVC-200は推奨半径1m以内、最大2m以内です。

I-O DATA TC-SPRC100はLOW時が推奨1m以内、HIGH時が推奨2m以内で、場所に応じて切り替えられます。

3. 会話が重なるならフルデュプレックスも見る

Web会議では、相づちを入れたり、話し始めが少し重なったりします。

フルデュプレックス対応のスピーカーフォンは、こちらと相手側が同時に話したときも双方向の音声をやり取りしやすい設計です。

今回ではJabra Speak2 40がフルデュプレックス対応を明記しています。

ただし、フルデュプレックスだけで会議品質が決まるわけではありません。エコーキャンセリング、ノイズ低減、部屋の環境なども合わせて考えます。

4. 会議場所を移動するならバッテリーを見る

固定席でPCへUSB接続して使うなら、バッテリーは必須ではありません。

一方、空いている打ち合わせスペースへ持っていったり、スマートフォンとBluetooth接続したりするなら、バッテリーがある方が自由度は高くなります。

今回では、

  • Anker PowerConf:最長24時間
  • YAMAHA YVC-200:10時間
  • I-O DATA TC-SPRC100:6時間

です。

Jabra Speak2 40はUSB接続専用なので、バッテリーはありません。

5. 1人で参加することが多いなら、そもそもスピーカーフォンでなくていい

スピーカーフォンが特に便利なのは、複数人が同じ場所から1台のPCで参加する場面です。

1人だけでWeb会議へ参加するなら、周囲へ会議内容が聞こえないヘッドセットの方が向いていることがあります。

マイクだけを良くしたいならUSBマイクも候補です。

用途の違いはヘッドセットとUSBマイクはどっちが仕事向き?で整理しています。

共用PCでシンプルに使うなら Jabra Speak2 40

Jabra Speak2 40は、USB接続に割り切ったスピーカーフォンです。

USB-CとUSB-Aのコネクターが一体になった約80cmのケーブルを備えているため、新しいUSB-C中心のPCにも、USB-Aが中心のPCにもつなぎやすい構成です。

4つのデジタルMEMSマイクを搭載し、マイク収音範囲は最大2.3m。フルデュプレックス、通話中のノイズ低減、音響エコーキャンセラーにも対応しています。

今回これを選んだ一番の理由は、Bluetoothがないことを含めて共用品として分かりやすいからです。

複数人が入れ替わりで使うスピーカーフォンでは、「誰のPCにBluetooth接続されている?」という確認そのものが手間になることがあります。

Speak2 40ならUSBを挿して使うだけです。

Bluetoothやバッテリーが必要な人には向きませんが、固定席や小会議室でPC用として使うなら、その割り切りがメリットになります。

Jabraだから選んだのではなく、今回の4製品では「共用品をUSBで簡単に使う」という役割が明確だったため採用しています。

旧世代のSpeak 510については、実際に使って感じた便利さとSpeak2との違いも参考にしてください。

持ち運びとBluetoothなら Anker PowerConf

Anker PowerConfは、USB-C接続とBluetooth接続の両方に対応したポータブルスピーカーフォンです。

6つの全指向性マイクを360°に配置し、エコーキャンセリング、残響抑制、ノイズリダクション、オートゲインコントロールなどの音声処理機能を備えています。

特徴は、最長24時間の連続通話に対応するバッテリーです。

毎回PCの近くへ固定して使うのではなく、

  • 空いている打ち合わせスペースへ持っていく
  • 自宅と別の場所で使う
  • スマートフォンとBluetoothでつなぐ

といった使い方に合わせやすくなっています。

トラベルポーチも付属します。

気をつけたいのは、Bluetooth機器を共用する場合です。

ワイヤレス接続は便利ですが、複数人が同じ1台を使うなら、会議を始める前にどの端末と接続されているかを確認する運用は必要です。

共用PCへ毎回つなぐだけならJabra Speak2 40のようなUSB専用モデルの方が単純。持ち運びやBluetoothを生かしたいならPowerConf、と分けると選びやすいです。

周囲に人がいる場所なら I-O DATA TC-SPRC100

I-O DATA TC-SPRC100の特徴は、集音範囲をLOWとHIGHの2段階で切り替えられることです。

LOWでは推奨1m以内・最大3m、HIGHでは推奨2m以内・最大5mを360°で集音します。

会議室では広く声を拾いたい一方、オープンスペースでは周囲の別の会話まで拾ってしまうことがあります。

TC-SPRC100なら、少人数で近くに座るときはLOW、少し広い範囲から声を拾いたいときはHIGHという使い分けができます。

6つの高感度マイクを搭載し、USBとBluetooth 5.0の両方に対応。バッテリー稼働時の連続通話時間は6時間です。

もう一つ面白いのが、Bluetoothの接続方法です。

一般的なBluetooth機器のようにペアリング済み端末へ自動接続するのではなく、端末側からTC-SPRC100を選択しないと接続されない仕様になっています。

不特定多数が使う会議室で「近くにいる別の人のPCへつながっていた」という事故を避けたい場合には、かなり実務的な工夫です。

持ち運び時間の長さより、共用スペースでの使い分けや集音範囲を重視する人に向いています。

1〜4人程度の小規模会議なら YAMAHA YVC-200

YAMAHA YVC-200は、メーカーが1〜4名程度の打ち合わせ向けとして案内しているポータブルスピーカーフォンです。

無指向性マイクで360°をカバーし、収音範囲は推奨半径1m以内、最大2m以内。

適応型エコーキャンセラー、ノイズリダクション、オートゲインコントロール、人の声とノイズを判別するHVADなど、ヤマハの会議向け音声処理を搭載しています。

USBに加えてBluetooth 4.2とNFCにも対応し、バッテリーは最長10時間です。

小さな打ち合わせテーブルで数人が囲んで使うという用途が明確なので、「どれくらいの規模で使うか」を決めやすい製品です。

注意点はUSB端子がMicro-Bであることです。

USB-C中心になった現在では、接続まわりに少し古さを感じやすい部分です。価格も今回の4製品では高めです。

一方、1〜4人程度という想定がメーカーから明示されており、USBとBluetoothの両方を使えるため、小規模な会議用として条件が合うなら候補になります。

4製品をどう選び分ける?

最後に用途だけで整理すると、かなりシンプルです。

共用PCへ毎回つなぐ

Jabra Speak2 40。

Bluetoothの接続先を気にせず、USB-C / USB-Aで直接つなげます。

会議場所を移動する・スマートフォンでも使う

Anker PowerConf。

Bluetoothと最長24時間のバッテリーを生かしやすい使い方です。

オープンスペースや共用会議室で使う

I-O DATA TC-SPRC100。

集音範囲を切り替えられ、Bluetoothも意図した端末から選んで接続する仕様です。

1〜4人程度の小さな打ち合わせが中心

YAMAHA YVC-200。

小規模会議を想定した仕様が明確で、USB・Bluetoothの両方を使えます。

まとめ:全員に同じ1台ではなく、会議の始め方で選ぶ

Web会議用スピーカーフォンは、マイク数や価格だけで決めなくても大丈夫です。

まず、

  1. 共用品か、個人で持ち運ぶのか
  2. USBだけでよいか、Bluetoothも必要か
  3. 一番遠い参加者までどれくらいあるか
  4. 周囲の別の声を拾いやすい場所か

を確認すると候補を絞りやすくなります。

今回の4台なら、共用PCで簡単に使うJabra Speak2 40、持ち運ぶAnker PowerConf、集音範囲を使い分けるI-O DATA TC-SPRC100、小規模会議向けのYAMAHA YVC-200という役割分けです。

複数人で1台のPCを囲む会議なら、スピーカーフォンを1台置くだけで準備をかなり減らせます。

逆に1人参加が中心なら、ヘッドセットやUSBマイクの方が合うこともあります。

会議の人数だけではなく、「誰が、どこで、どう接続して使うか」から選ぶのが一番分かりやすいです。