モニターアームを買おうとして商品ページを見ると、いきなり「クランプ式」「グロメット式」と書かれていて、そこで止まる人もいると思います。
そもそも、モニターアームはどうやって机とモニターを固定するのでしょうか。
基本的には、
- アームの土台を机へ固定する
- モニター背面のVESA穴へ金具を固定する
- モニターをアームへ取り付ける
という構造です。
そして、今回の記事で特に重要なのが1番目の**「アームを机へどう固定するか」**です。
机への固定方法によって、取り付けられる机・取り付けにくい机が変わります。
この記事では、まずモニターアームの設置方法そのものを整理したうえで、自分の机へ取り付けられるかを順番に確認していきます。
そもそもモニターアームはどうやって机に付ける?
デスクへ取り付けるモニターアームでは、主に次の固定方法があります。
| 固定方法 | どうやって固定する? | 机に穴を開ける? | 向いているケース |
|---|---|---|---|
| クランプ式 | 天板の上と下から挟んで締める | 基本不要 | 一般的なデスクで使いたい |
| グロメット式 | 天板の穴へボルトを通し、上下から締める | 既存穴がなければ必要 | 後端を挟みにくい、配線穴を使える |
| ネジ固定式 | 天板へ直接ネジで固定する | 必要 | 固定位置を決めてしっかり設置したい |
このほか、壁へ固定するタイプや支柱・ポールへ固定するタイプ、机の上へ置くスタンドタイプなどもあります。
ただ、家庭やオフィスのデスクへ後付けするモニターアームを探しているなら、まず目にするのはクランプ式です。
サンワサプライも、デスク取付タイプの中でクランプ式を「最も種類が多く、一般的なタイプ」と案内しています。
そのためこの記事も、まずクランプ式を中心に「自分の机に付くか」を確認し、クランプが難しい場合にグロメット式などを考える流れで進めます。
一番よく見る「クランプ式」は、机の端を上下から挟む
クランプ式は、机の後端などへ金具を差し込み、天板を上と下から挟んで締め付ける方式です。
イメージとしては、大きく頑丈なクリップで机の端を挟み、その上にモニターアームが立つような構造です。
天板へ穴を開けなくても取り付けられる製品が多いため、初めてモニターアームを導入する場合にも分かりやすい方式です。
ただし、上下から挟むため、天板の裏側には締め具が入ります。
つまり、
- 天板の端を上下から挟める
- 天板裏に締め具が入る
- 天板厚が対応範囲内
という条件が必要です。
この記事で詳しく扱う「裏フレームが邪魔」「奥行きが足りない」という問題は、主にこのクランプ式で起こります。
「グロメット式」は、天板の穴を使って固定する
グロメット式は、天板に開いている穴へボルトを通し、天板を上下から挟み込んで固定する方式です。
デスクにもともとケーブルを通す配線穴があり、その穴径・位置・天板厚がアームの条件に合えば、その穴を利用できる製品もあります。
対応する穴がない場合は、製品によっては天板へ穴を開けて取り付けます。
クランプ式との大きな違いは、天板の後端を外側から挟む必要がないことです。
そのため、
- 天板後端のフレームが邪魔
- 机の後ろにクランプを差し込む隙間が少ない
- 既存の配線穴を利用できる
といった環境では候補になります。
一方で、机に穴を開ける場合は元へ戻しにくくなります。
会社の備品、賃貸環境、穴あけが許可されていない机では勝手に加工しないようにしてください。
「ネジ固定式」や壁面固定もあるが、まずは机の条件から考える
ネジ固定式は、天板へ直接ネジで固定する方式です。
クランプやグロメット以外にも選択肢はありますが、机へ加工を伴う方法は導入のハードルが上がります。
また壁面固定タイプは机の条件を受けにくい反面、壁側へ十分な強度と適切な施工が必要です。
「クランプが付かないなら、とりあえず壁へ付ければいい」と単純に置き換えられるものではありません。
まずは、使いたい机でクランプ式が使えるか。
難しければ、アームがグロメット式へ対応しているか。
それでも難しい場合に、別の固定方式やモニター台を考える方が整理しやすいでしょう。
机への穴あけや加工が必要になるなら、無理にモニターアームへ寄せず、純正スタンドや置き型のモニター台を選ぶのも現実的です。
モニター側はVESA穴へ固定する
机側とは別に、モニター側にも取り付け条件があります。
一般的なモニターアームは、モニター背面にあるVESA規格のネジ穴へプレートを固定し、そのプレートをアームへ取り付けます。
そのため、机側が完璧でも、モニターに対応するVESA穴がなければそのまま取り付けられません。
実際の取り付け順序は製品によって異なりますが、大まかには、
- 机へアームの土台を固定する
- モニターの純正スタンドを外す
- モニター背面へVESAプレートを付ける
- プレートごとアームへ固定する
- アームの保持力や位置を調整する
という流れです。
モニターの重量・VESA・アーム側の耐荷重については、モニターアームおすすめ4選でも詳しく整理しています。
この記事ではここから、机側へ固定できるかに絞って見ていきます。
先に結論:クランプ式なら、この5つを確認する
クランプ式モニターアームを付けられるか確認するときは、まず次の5点を見ます。
- 天板の後端を上下から挟めるか
- 天板裏に、クランプが入るだけの奥行きがあるか
- 天板の厚さがアームの対応範囲内か
- 机の後ろに、クランプを差し込むための隙間があるか
- 天板に十分な強度があるか
この中で特に見落としやすいのが2番です。
机の商品ページに「奥行き60cm」と書いてあっても、それは机全体のサイズです。
モニターアームのクランプが使うのは、天板の後端にある数cm〜十数cm程度の取り付けスペースです。
その場所に補強フレーム、配線トレー、引き出しなどがあると、机全体が広くてもクランプを締められないことがあります。
まず机の下をのぞく:補強フレームが一番の落とし穴
最初にやることはシンプルです。
机の後ろ側から、天板の裏を見てください。
デスクによっては、天板のすぐ下に金属製の補強フレームやパイプが通っています。
このフレーム自体は机の強度を高めるために重要ですが、モニターアームのクランプにとっては障害物になることがあります。
サンワダイレクトもデスク製品の説明で、従来構造では天板裏の補強パイプが邪魔になり、クランプ機器を取り付けられない場合があったと案内しています。現行の一部デスクでは、モニターアーム用のスペースを作るため補強パイプを内側へ移した設計になっています。
つまり、
フレームがあること自体が問題なのではなく、フレームが天板の端に近すぎることが問題です。
見るべきなのは、
- 天板の後端
- 裏フレームの手前側
の間に、どれだけ空間があるかです。
「机の奥行き」ではなく「クランプ用の有効奥行き」を測る
ここはこの記事で一番重要なポイントです。
たとえば奥行き60cmのデスクでも、天板の後端から4cmの位置に太いフレームがあれば、クランプ下面が5cm以上必要なモニターアームは干渉する可能性があります。
逆に奥行き45cm程度の小さなデスクでも、後端の裏側が広く空いていれば取り付けられる場合があります。
測る場所はこうです。
天板の後端 → 最初にぶつかるフレーム・パイプ・引き出しまでの距離
この距離を、ここでは「クランプ用の有効奥行き」と考えます。
実際のモニターアームでは何cm必要?
必要寸法は製品ごとに違います。
たとえばPixioはモニターアームのクランプ寸法を公式FAQで公開しています。
PSW1Sの場合、デスク下の締め具部分は幅46mm × 奥行54mmです。
単純に「天板厚50mmまで対応」と見るだけでなく、天板裏にこの締め具が収まる空間が必要だと分かります。
またErgotronのLX Pro用大型クランプベースでは、天板裏に奥行き70mm以上、障害物のないスペースが必要と案内されています。
製品によって50mm前後で済むものもあれば、70mm以上必要なものもあります。
そのため、購入前には商品ページや寸法図で、
- デスク上の台座サイズ
- デスク下のクランプサイズ
- 天板端から必要な奥行き
まで確認できると安心です。
天板厚が範囲内でも、フレームに当たれば付かない
「対応天板厚10〜50mm」と書かれていると、20mmの天板なら問題ないように見えます。
しかし、この数字は主にクランプが上下に開ける範囲です。
天板裏のスペースまで保証している数字ではありません。
たとえばPixio PSW1Sは、クランプ固定では天板厚10〜50mmに対応しています。
Ergotron LX Proも標準の2ピースクランプでは、天板厚10〜60mmに対応します。
ただし、どちらも実際にはクランプ金具を机の下へ入れる必要があります。
つまり、
- 天板厚20mm → 対応範囲内
- でも天板端から30mmの位置にフレーム → クランプが物理的に入らない
ということはあり得ます。
「天板厚」と「天板裏の空き」は別々に確認するのがポイントです。
付けにくい机の例1:天板裏のフレームが後端ぎりぎりにある
もっとも分かりやすいのがこのタイプです。
天板の後端近くに、横方向へ太いスチールフレームが通っている机です。
クランプは天板の上と下を挟むので、下面側の締め具がフレームにぶつかると固定できません。
特に注意したいのは、ネット通販の商品写真だけでは天板裏が見えない机です。
新しくデスクも買う場合は、
- 組立説明書
- 天板裏の写真
- フレーム位置が分かる寸法図
- 「モニターアーム対応」などの記載
を確認しておくと失敗しにくくなります。
ただし「モニターアーム対応」と書かれていても、すべてのアームが付くとは限りません。
最終的には、使うアームのクランプ寸法と照らし合わせます。
付けにくい机の例2:引き出しやケーブルトレーが後端まで来ている
フレーム以外にも、天板の裏に障害物があるケースがあります。
たとえば、
- 引き出しユニット
- 配線トレー
- ケーブルオーガナイザー
- 電源タップ用ホルダー
- デスクの制御ボックス
などです。
もともと付いている設備だけでなく、後から自分で追加したデスク下アクセサリーがモニターアームとぶつかることもあります。
特にクランプ式のデスク下ケーブルトレーを使っている場合、モニターアームと同じ「天板の後端」を取り合いやすくなります。
すでにアクセサリーを付けているなら、
「空いている場所にアームを追加できるか」
ではなく、
「アームのクランプ寸法ぶん、連続した空間を確保できるか」
で確認してください。
付けにくい机の例3:天板の端を平らに挟めない
クランプ式は、天板の上下から固定する方式です。
そのため、天板の後端が特殊な形状だと注意が必要です。
たとえば、
- 天板下面に大きな段差がある
- 後端が極端に丸い・斜めになっている
- 天板の縁だけ厚くなっている
- クランプ下面が十分に接触できない
といった形状です。
こうした机が一律に取り付け不可というわけではありません。
クランプ形状によっては固定できる場合もあります。
ただし、上下の金具が安定して接触できない状態で無理に締めるのは避けるべきです。
メーカーの寸法図・取付説明書で固定方法を確認し、判断できない場合はアームメーカーへ机の写真や寸法を添えて問い合わせる方が安全です。
付けにくい机の例4:天板が厚すぎる・薄すぎる
当然ですが、天板厚も確認します。
対応範囲はモニターアームごとに違います。
例として、
- Pixio PSW1S:クランプ固定 10〜50mm
- Ergotron LX Pro:標準クランプ 10〜60mm
です。
厚すぎればクランプが開ききらず、薄すぎてもメーカーの対応範囲から外れます。
ここで注意したいのは、机の商品ページに書かれている天板厚と、実際にクランプを付ける部分の厚さが同じとは限らないことです。
天板の縁に飾り板が付いていたり、裏面に部材が重なっていたりする机では、固定予定位置を実際に測った方が確実です。
付けにくい机の例5:壁にぴったり付けていて後ろからクランプを入れられない
机側に十分なスペースがあっても、壁との距離で取り付けにくくなることがあります。
クランプによっては、天板の後ろ側から金具を差し込んで取り付けます。
Ergotronの一部ロープロファイルクランプでは、設置時に天板後端と壁の間へ約2cmの空間が必要と案内されています。別のアンダーマウントクランプでは、後ろから差し込むため約3cmの隙間が必要とされています。
必要寸法は製品によって違いますが、机を壁へ完全に密着させている場合は、
- 一度机を手前へ動かして取り付ける
- 取り付け後にどこまで壁へ戻せるか確認する
という作業が必要になることがあります。
さらに、アーム本体を後ろへ動かす使い方では、取り付け後の可動域にも壁が影響します。
壁際で使う場合は、アームの商品寸法と可動範囲まで確認してください。
強度は「付くかどうか」と別に確認する
ここまでの条件を満たせば、物理的にはクランプを取り付けられる可能性が高くなります。
ただし、付けられることと、安全に支えられることは別です。
モニターアームは、モニターとアームの重さを天板の一部分で支えます。
特に、
- 薄い天板
- 中空構造の天板
- たわみやすい天板
- 大型・重量級モニター
- デュアルアーム
では、机側の強度も確認が必要です。
Ergotronも、取り付け面の材質はさまざまであるため、取り付ける製品と機器を支えられる十分な強度があることを確認するよう案内しています。
サンワサプライからは、クランプの接触面を広げて天板のゆがみ・たわみを軽減するモニターアーム用補強プレートも販売されています。
ただし、補強プレートを使えばどんな弱い机でも安全になるわけではありません。
机自体の構造に不安がある場合は、デスクメーカーの仕様も確認してください。
クランプが無理でも、グロメット固定なら付けられる場合がある
「裏フレームが邪魔だからモニターアームは諦める」前に、使うアームがグロメット固定へ対応しているか確認する方法があります。
グロメット固定は、天板の穴を使って上下から固定する方式です。
机にもともと配線用の穴があり、その穴径・位置・天板厚がアームの条件に合えば、クランプを天板後端へ挟まずに設置できる場合があります。
製品によっては、天板へ穴を開けて取り付けることもできます。
たとえばPixio PSW1Sは、クランプ固定に加えてグロメット固定にも対応し、グロメットでは天板厚10〜45mmに対応しています。
ただし、
- 会社の備品
- 賃貸で使う机
- 穴あけが許可されていないデスク
- 内部構造が分からない天板
へ勝手に穴を開けるのは避けてください。
**「既存の穴が使えるか」「穴あけしてよい机か」**を先に確認します。
買う前に5分でできる測り方
モニターアームを購入する前に、定規やメジャーで次の4か所を測っておくとかなり判断しやすくなります。
1. 天板厚
アームのクランプ対応厚と比較します。
2. 天板後端から裏フレームまでの距離
クランプ下面が入る「有効奥行き」です。
3. クランプを置きたい場所の横幅
フレームの縦材、配線穴、ケーブルトレーなどを避けて、台座・締め具が収まる幅があるか確認します。
4. 天板後端と壁の隙間
クランプを差し込めるか、取り付け後にアームが壁へ当たらないかを確認します。
そして、できれば机の裏側をスマホで1枚撮っておくのがおすすめです。
商品ページの寸法図と写真を見比べやすくなり、メーカーへ問い合わせる場合にも説明が楽になります。
迷ったら「天板の断面」より「取り付け予定地点」を見る
机の仕様だけを見ていると、
- 奥行き60cm
- 天板厚20mm
- 耐荷重50kg
のような数字へ目が行きます。
でもモニターアーム設置で重要なのは、実際にクランプを付ける数cmの範囲がどうなっているかです。
同じ机でも、中央にはフレームがあるが左右端なら空いている、といったこともあります。
その場合、アームの土台位置を少し横へずらせば設置できる可能性があります。
特にシングルアーム2本を使う場合は固定場所が2か所必要です。
2画面構成で設置場所まで含めて考えたい場合は、デュアルモニターアームとシングル2本はどっち?も参考にしてください。
どうしてもクランプ式が付かないなら、モニター台も選択肢
机の構造上どうしてもクランプを固定できず、グロメット固定も使えない場合があります。
その場合、モニターアームを無理に付ける必要はありません。
目的が「画面を少し高くしたい」「モニター下を使いやすくしたい」なら、モニター台でも解決できることがあります。
モニターアームとモニター台はどっち?では、高さ調整・前後移動・収納・設置の手軽さから2つを比較しています。
一方、机側の条件をクリアできていて、具体的なアームを選びたい段階なら、モニターアームおすすめ4選でモニター重量・VESA・用途別に比較しています。
まとめ:まず固定方式、そのあと「天板裏の数cm」を見る
モニターアームを初めて選ぶなら、まず設置方法を整理すると分かりやすくなります。
一般的なデスクへ後付けするなら、まず候補になるのは天板を上下から挟むクランプ式です。
クランプが難しい場合は、対応製品なら天板の穴を使うグロメット式という選択肢があります。
そしてクランプ式を使う場合、確認したいのは、
- 天板後端をクランプで挟めるか
- 天板端から裏フレームまで十分な奥行きがあるか
- 天板厚がアームの対応範囲内か
- 壁との隙間が確保できるか
- 天板に十分な強度があるか
です。
特に、机全体の「奥行き60cm」より、天板後端から裏フレームまでの有効奥行きの方が設置可否には直接効きます。
まず机の下をのぞいて、メジャーで数か所測る。
それからアームの商品ページにあるクランプ寸法と照らし合わせる。
この順番なら、「クランプって何?」という段階からでも、自分の机にモニターアームを取り付けられるか判断しやすくなります。








