家庭用NASを初めて選ぶなら、最初からRAIDやCPUの違いまで覚える必要はありません。

まず決めたいのは、どのくらいの容量が必要かです。

そのうえで、初めてならHDDが最初から入っている完成品を中心に選ぶと、かなり迷いにくくなります。

購入前に覚えておきたいのは、次の3点です。

  • 先に必要な容量を決める
  • 初めてならHDD入りの完成品が分かりやすい
  • 2台のHDDでデータを二重化すると、商品名の容量を全部使えない場合がある

さらに、大切なデータを長く置くなら、停電やNAS本体の故障に備えることも考えておきたいところです。

そもそもNASが必要か、外付けHDDで十分か迷っている場合は、先にNASとは?外付けHDDとの違いを読むと判断しやすくなります。

先に結論:初めてならHDD入りの完成品から選べばOK

家庭用NASを初めて買うなら、まずはHDD搭載済みの製品から探すのがおすすめです。

NAS本体とHDDを別々に選ばなくてよいため、購入時に確認する項目を減らせます。

今回の4製品では、次の3台がHDD入りです。

  • BUFFALO LinkStation LS210D0401G
  • BUFFALO LinkStation LS720D0402
  • I-O DATA LAN DISK HDL2-LE04

Synology DiskStation DS223jだけはHDD別売りです。

HDD別売りのNASには機能や拡張性の魅力がありますが、初めての1台として必須ではありません。

商品を探していて「同じ2ベイNASなのに、これだけ妙に安い」と感じたときは、まずHDDが入っているか確認してください。

商品名に「NASキット」「ストレージ無」「HDD別売り」などと書かれている場合は、本体とは別にHDD代が必要です。

STEP 1:最初に必要な容量を決める

NAS選びで最初に見るのは、ベイ数やCPUではなく容量です。

今あるデータと、これから数年で増えそうなデータをざっくり確認します。

容量の目安

保存したいもの 最初に見る容量の目安
文書、スマホ写真が中心 2TB前後から
家族の写真・動画、PCバックアップ 4TB前後から
4K動画、RAW写真、複数PCのバックアップ 6TB・8TB以上も検討

これはあくまで候補を絞るための目安です。

同じ「写真中心」でも枚数や動画の量で必要容量は変わります。

迷ったら、次の順番で考えると分かりやすくなります。

  1. PC、スマホ、外付けHDDなどに今あるデータ量を確認する
  2. 今後2〜3年で増えそうな写真や動画を考える
  3. PCのバックアップもNASへ置くなら、その分も足す
  4. 2ドライブ製品では、実際に使える容量を確認する

最後の4番が、NASでは特に重要です。

「4TBモデル」でも4TB全部を保存に使えないことがある

1ドライブの4TB NASなら、基本的には4TBのHDDを1台使います。

一方、2ドライブの4TB NASでは、2TBのHDDを2台搭載して「合計4TB」と表記している製品があります。

たとえばBUFFALO LS720D0402は、2TB HDDを2台搭載した4TBモデルです。

2台へ同じデータを保存するRAID1で使う場合、保存容量の目安は約2TBになります。

I-O DATA HDL2-LE04も商品表記は4TBですが、出荷時のRAIDeXではメーカー仕様上の実効容量は2TBです。

つまり、2TB分のデータを二重化して持つ構成です。

「4TB保存したいから4TBモデルを買う」と決める前に、2ドライブ製品では実効容量を確認してください。

STEP 2:初めてならHDD込みを基本にする

HDD入りのNASは、買ったあとに「どのHDDを2台買えばいい?」と悩まずに済みます。

初めての家庭用NASでは、この分かりやすさが大きなメリットです。

HDD込みの完成品が向いている人

  • 初めてNASを買う
  • 家族の写真やPCバックアップをまとめたい
  • HDDの互換性まで調べたくない
  • 本体とHDDをまとめて購入したい

今回なら、BUFFALO LS210D0401G、LS720D0402、I-O DATA HDL2-LE04が該当します。

安すぎるNASは「HDD別売り」か確認する

NASを検索すると、容量付きの完成品よりかなり安い商品が見つかることがあります。

このときは価格だけで飛びつかず、商品名や仕様欄で次の表記を確認します。

  • HDD別売り
  • ストレージ無
  • NASキット
  • ディスクレス

これらはNAS本体だけの可能性があります。

Synology DS223jもこのタイプです。

本体価格は抑えられますが、実際に使うには対応HDDを別途用意する必要があります。

STEP 3:1ドライブと2ドライブの違いを知る

家庭用NASには、HDDを1台搭載する製品と2台搭載する製品があります。

初心者向けにかなり単純化すると、次の違いです。

構成 メリット 気をつけること
1ドライブ 仕組みがシンプル。容量をそのまま使いやすい HDDが故障するとNAS内のデータへアクセスできなくなる
2ドライブ 1台故障しても、構成によってはもう1台で運用を続けやすい 二重化すると使える容量が減る

1ドライブは初心者向けとして十分あり

「2ドライブの方が上だから、1ドライブは選ばない方がいい」というわけではありません。

家庭の写真共有やPCバックアップをシンプルに始めるなら、1ドライブNASは分かりやすい選択肢です。

今回のBUFFALO LS210D0401Gは4TB HDDを1台搭載しています。

4TBモデルなら、RAID1で容量が半分になる仕組みはありません。

ただし、HDDが故障したときに別の内蔵HDDへ切り替えることはできません。

大切な写真なら、NASとは別の外付けHDDやクラウドにもコピーを残します。

2ドライブはHDD故障への備えを作りやすい

2ドライブNASでは、2台へ同じデータを保存する構成を選べます。

HDDが1台故障しても、残った1台からデータへアクセスしやすいのがメリットです。

その代わり、同じデータを2台へ持つため、保存に使える容量は小さくなります。

ここで覚えておきたいのは、2ドライブやRAIDはバックアップそのものではないことです。

ファイルを誤って削除した場合、削除も両方へ反映されることがあります。NAS本体の故障、盗難、火災などにも別の備えが必要です。

1ドライブ構成とRAID1構成で費用や使える容量がどう変わるか知りたい場合は、NASをRAID1にすると何が変わる?費用・使える容量・HDD2台構成で具体例を整理しています。

STEP 4:停電が気になるならUPSも考える

NASは電源につないだまま使うことが多い機器です。

書き込み中に突然電源が落ちると、保存中のデータやファイルシステムへ影響する可能性があります。

短い停電や瞬断が気になる環境では、UPS(無停電電源装置)があると安心です。

UPSは停電中にNASを何時間も使い続けるためだけの機器ではありません。

家庭用NASでは、停電を検知したあと安全に処理を止めたり、シャットダウンしたりするための時間を作るという役割が重要です。

ただし、NASならどのUPSでも連携できるわけではありません。

購入前にNASメーカーの対応UPS一覧を確認します。

今回のI-O DATA HDL2-LEシリーズは、メーカー仕様でUPS対応が明記されています。

NASへ家族の写真やPCバックアップを集約していくなら、容量や速度だけでなく「電源が急に落ちたときどうするか」も一緒に考えておくと安心です。

UPSの選び方やNASとの連携まで確認したい場合は、家庭用UPSおすすめ4選でW数・正弦波・USB連携の見方を整理しています。

家庭用NASおすすめ4製品の違い

製品 HDD 構成 表記容量と使い方 向いている人
BUFFALO LS210D0401G 4TB搭載済み 1ドライブ 4TBをシンプルに使いやすい 初めてNASを使う人
BUFFALO LS720D0402 2TB×2搭載済み 2ドライブ RAID1なら実効約2TB HDD故障への備えも欲しい人
I-O DATA HDL2-LE04 4TB搭載済み 2ドライブ RAIDeX出荷時は実効2TB 外付けHDDバックアップやUPSまで考えたい人
Synology DS223j HDD別売り 2ベイ HDD構成を自分で決める NASを使い込みたい人

初めてなら、上の3つのHDD搭載済みモデルから考えると選びやすいです。

Synology DS223jは、NASに慣れてから機能を広げたい人や、最初から自分でHDDを選びたい人向けの選択肢です。

BUFFALO LinkStation LS210D0401G|まずNASを使ってみたい人に

LS210D0401Gは、4TB HDDを1台搭載した1ドライブNASです。

今回の4台では一番仕組みを理解しやすい構成です。

HDDは最初から入っているため、別途ドライブを選ぶ必要がありません。

家庭内のPCやスマホからファイルへアクセスでき、WebAccessを使った外出先からのアクセス、PCバックアップ、DLNAなどにも対応します。

1ドライブなので、4TBモデルをRAID1にして2TBになるような容量の分かりにくさもありません。

GOOD

  • HDD込みで始めやすい
  • 4TBの1ドライブ構成で容量を理解しやすい
  • 家庭内共有やPCバックアップなど、NASの基本用途を始めやすい

気になる点

HDDは1台だけです。

ドライブが故障したときに、もう1台の内蔵HDDで運用を続けることはできません。

大切なデータを置くなら、外付けHDDやクラウドなど別の場所にもコピーを残したいところです。

LANは1GbEなので、大容量動画を頻繁に転送して速度を重視するなら2.5GbE対応モデルも比較します。

向いている人

NASを初めて使う人、家族の写真やPCバックアップをネットワーク上にまとめたい人に向いています。

BUFFALO LinkStation LS720D0402|2台構成でHDD故障にも備えたい人に

LS720D0402は、2TB HDDを2台搭載した4TB表記のNASです。

出荷時はRAID1で使う構成のため、同じデータを2台へ保存します。

そのため、実際に保存へ使える容量の目安は約2TBです。

この「4TBモデルだけれど、二重化して使うと約2TB」という点を理解して選ぶ製品です。

2.5GbEにも対応し、WebAccess、メディアサーバー、DTCP-IPなど家庭向け機能を備えます。

GOOD

  • HDDを2台搭載した完成品
  • RAID1でHDD1台の故障に備えやすい
  • 2.5GbE対応
  • 家庭向けのメディア機能も充実している

気になる点

4TBという表記だけを見て、4TB分の写真や動画を保存できると考えないようにします。

RAID1で使う場合は約2TBが目安です。

また、2.5GbEを生かすにはPC側やルーター、スイッチなどのネットワーク環境も確認する必要があります。

向いている人

HDD込みの完成品がよいけれど、1台のHDD故障にも備えたい人に向いています。

I-O DATA LAN DISK HDL2-LE04|バックアップと停電対策まで考えたい人に

HDL2-LE04もHDDを2台搭載した4TBモデルです。

出荷時はI-O DATA独自のRAIDeXに設定されており、メーカー仕様上の実効容量は2TBです。

この製品の分かりやすい特徴は、NAS自身のバックアップまで考えやすいことです。

背面へUSB HDDを接続し、履歴差分バックアップや世代管理を設定できます。

さらにメーカー仕様でUPS対応が明記されています。

PCやスマホのバックアップ先としてNASを買うだけでなく、「そのNASが壊れたとき」「停電したとき」まで考えたい人に向いています。

GOOD

  • HDD搭載済みの完成品
  • 2.5GbE対応
  • USB HDDへの履歴差分バックアップ、世代管理に対応
  • 対応UPSを使った電源対策へ広げられる

気になる点

4TBモデルでも、出荷時のRAIDeXでは実効容量2TBです。

内蔵HDDは交換できますが、ホットスワップには対応していません。

向いている人

写真やPCバックアップをNASへまとめたあと、そのNASのバックアップや停電対策まで考えたい人に向いています。

Synology DiskStation DS223j|HDDを自分で選んで使い込みたい人に

DS223jはHDDが入っていない2ベイNASキットです。

今回の4台では初心者向けの基本候補ではなく、少し踏み込んでNASを使いたい人向けとして入れています。

SynologyのNAS用OS「DiskStation Manager(DSM)」を使い、Synology Photosで写真をまとめたり、Synology Driveでファイルを同期したりできます。

本体価格だけを見るとHDD入りNASより安く見えることがありますが、別途HDDが必要です。

ディスクレスNASを選び、HDDを別に用意する場合は、NAS用HDDおすすめ3シリーズでWD Red Plus・IronWolf・N300の4TBモデルを比較しています。

GOOD

  • Synology PhotosやDriveなどのアプリを使える
  • 2ベイでRAID1やSynology Hybrid RAIDなどを選べる
  • Btrfsやスナップショットなど、NASの使い方を広げやすい

気になる点

HDDは付属しません。

本体を買っただけでは保存を始められないため、対応HDDを含めた総額で比較します。

ドライブ購入前には、Synologyが公開している現行の互換性情報も確認します。

LANは1GbEです。

向いている人

NASの仕組みを少し調べながら、自分でHDD容量を決めたい人、写真管理やファイル同期など機能を使い込みたい人に向いています。

速度は容量と構成を決めたあとで見る

NASを調べると「1GbE」「2.5GbE」という数字も目に入ります。

ただ、初めてのNASなら最初からここを最優先にしなくても大丈夫です。

文書やスマホ写真の保存が中心なら、1GbEでも困らないケースは多くあります。

数十GB単位の動画やRAW写真を頻繁に動かすなら、2.5GbE対応モデルを選ぶ意味が大きくなります。

今回ではLS720D0402とHDL2-LE04が2.5GbE対応です。

ただしNASだけが2.5GbEでも、途中のルーターやスイッチ、PC側が1GbEなら、そこで速度が制限されます。

LANケーブルの違いが気になる場合は、Cat5e・Cat6・Cat6Aの違いも参考にしてください。

RAIDはバックアップの代わりにはならない

2ドライブNASでHDDを二重化すると、HDD1台の故障には備えやすくなります。

ただし、次のようなケースは別です。

  • ファイルを誤って削除した
  • 間違った内容で上書きした
  • NAS本体が故障した
  • ランサムウェアの影響を受けた
  • 火災や盗難でNASごと失った

重要な写真や仕事データなら、NASとは別のUSB HDDやクラウドにもコピーを残します。

外付けHDDをバックアップへ使う考え方は、外付けHDDはバックアップに向いている?で詳しく整理しています。

保存先全体を比較したい場合は、外付けHDD・SSD・NAS・クラウドの違いも参考になります。

よくある疑問

初めてなら4TBを選べばいい?

4TBは家庭用NASで候補にしやすい容量ですが、全員に十分とは限りません。

まず今あるデータ量を確認し、写真や動画が今後どのくらい増えるかを考えます。

また、2ドライブの4TBモデルでは、二重化すると実効容量が2TBになる製品があります。

商品名の容量だけでなく、実効容量まで確認してください。

1ドライブNASは避けた方がいい?

避ける必要はありません。

シンプルに家庭内共有やバックアップを始めるなら1ドライブNASは分かりやすい選択肢です。

ただしHDD故障時に別の内蔵HDDへ切り替えられないため、大切なデータは別の場所にもコピーします。

RAID1ならバックアップは不要?

不要にはなりません。

RAID1はHDD1台の故障に備える仕組みで、誤削除やNAS本体の故障、災害などへのバックアップとは役割が違います。

NASにUPSは必須?

必須ではありません。

ただ、NASへ大切なデータを集約して24時間使うなら、停電や瞬断への備えとして検討する価値があります。

UPS連携を使いたい場合は、NASメーカーが公開している対応UPSを確認してください。

HDD別売りのNASは初心者には難しい?

HDD込み製品より確認することは増えます。

対応HDD、容量、台数、RAID構成などを自分で決める必要があるため、初めてなら無理に選ぶ必要はありません。

NASを使い込みたくなったときの選択肢として考えても十分です。

NAS本体はWi-Fiで置ける?

今回の4モデルは、基本的にルーターやスイッチへLANケーブルで接続して使います。

スマホやノートPCはWi-Fi経由でNASへアクセスできますが、NAS本体まで無線で好きな場所へ置くという意味ではありません。

まとめ:容量を決めて、迷ったらHDD入りから選ぶ

家庭用NASを初めて選ぶなら、難しい機能から比較する必要はありません。

最初に保存したい容量を決めます。

次に、HDD入りの完成品から候補を絞ります。

そのうえで、1ドライブでシンプルに使うか、2ドライブでHDD故障への備えを作るかを選ぶと分かりやすくなります。

今回なら、シンプルにNASを始めたいならBUFFALO LS210D0401G。

HDDを2台搭載し、RAID1でHDD故障にも備えたいならBUFFALO LS720D0402。

NAS自身のUSBバックアップやUPSまで考えたいならI-O DATA HDL2-LE04。

HDDを自分で選び、写真管理や同期など機能を使い込みたいならSynology DS223jが候補です。

そして2ドライブNASでは、商品名の「4TB」がそのまま保存可能容量とは限りません。

容量、実効容量、バックアップ先。この3つを確認できれば、初めての家庭用NAS選びで大きく迷いにくくなります。