NASをRAID1で使おうとすると、HDDが2台必要になります。

そこで最初に気になるのが、「結局、HDDが1台増える分だけ高くなるの?」という点ではないでしょうか。

結論からいうと、すでに2ベイNASを持っていて、HDD1台構成からRAID1へ変えるだけなら、追加のハードウェア費用は基本的にもう1台のHDD代です。

ただし、これからNASを買う段階で「1ベイNAS+HDD1台」と「2ベイNAS+HDD2台のRAID1」を比べるなら、話は少し変わります。

RAID1ではHDDが1台増えるだけでなく、2台のHDDを搭載できるNAS本体が必要になるため、本体価格の差も加わります。

さらに、4TBのHDDを2台買っても、RAID1で保存に使える容量は約4TBです。8TB使えるわけではありません。

この記事では、RAID1にすると費用・容量・構成がどう変わるのかを、HDD1台構成と比べながら整理します。

RAID1そのものの役割や、なぜバックアップとは別なのかを先に知りたい場合は、RAID1とバックアップの違いも参考にしてください。

先に結論:同じ2ベイNASなら、追加費用は基本的にHDD1台分

まず、すでに2台のHDDを入れられる2ベイNASを持っているケースから考えます。

現在HDDを1台だけ入れて使っていて、同じ容量のHDDをもう1台追加してRAID1を構成するなら、追加で必要になる主な費用はHDD1台分です。

構成 必要なHDD 保存に使える容量の目安 追加で必要になるもの
HDD1台で使用 1台 HDD1台分 なし
RAID1 2台 HDD1台分 同容量のHDDをもう1台

たとえば4TB HDDを1台使っている2ベイNASへ、同じ4TB HDDを追加してRAID1にするなら、HDDは合計2台になります。

費用面だけを見ると、「4TB HDDをもう1台買う」という理解で大きく外れません。

ただし、RAID1へ変更できるか、既存データを残したまま構成変更できるかはNASによって異なります。

実際に変更するときは、NASメーカーの手順を確認し、必要なら先にバックアップを取ってから作業してください。

新しくNASを買うなら、HDD1台分だけの差ではない

これからNAS一式を買う場合は、「HDDが1台増えるだけ」と考えると少しずれます。

比較する構成が次のようになるためです。

1台構成 RAID1構成
1ベイNAS本体 2ベイNAS本体
HDD 1台 HDD 2台

つまり、新規購入時の差額はおおむね次の2つです。

  1. 1ベイNASと2ベイNASの本体価格差
  2. HDDをもう1台追加する費用

本体価格は製品ごとに違うため、「RAID1なら必ず何円高くなる」と一律には言えません。

一方で、同じ容量のHDDを2台使うという部分は分かりやすく、HDD代だけを見ると1台構成のおおむね2倍になります。

NASを初めて買う場合は、HDD入りの完成品とHDD別売りのNASでも総額の見え方が変わります。家庭用NASおすすめ4選では、HDD込み・HDD別売りの違いも整理しています。

4TBを2台買っても、RAID1で使えるのは約4TB

RAID1で一番戸惑いやすいのが容量です。

RAID1は、2台のHDDへ同じデータを保存します。

たとえば4TBのHDDを2台使う場合、保存されるイメージは次のようになります。

HDD 保存内容
HDD 1:4TB 写真・書類・動画
HDD 2:4TB HDD 1と同じ写真・書類・動画

合計では8TB分のHDDを購入していますが、別々のデータを8TB保存するわけではありません。

同じデータを2台に持つため、RAID1として使える容量の目安は4TBです。

QNAPもRAID1を「2台のディスクへ同一コピーを保存し、容量は合計ディスク容量の半分」と案内しています。

実際にOS上で表示される容量は、TBとTiBの換算やNASのシステム領域、ファイルシステムなどの影響で、商品に書かれた4TBより少なく見えることがあります。

そのため、購入時は「4TB×2台=8TB」ではなく、「4TBを二重化して使う」と考えると分かりやすくなります。

容量ごとに見るとどうなる?

同じ容量のHDDを2台使ったRAID1なら、考え方はシンプルです。

HDD構成 HDDの合計容量 RAID1で使える容量の目安
2TB × 2台 4TB 約2TB
4TB × 2台 8TB 約4TB
6TB × 2台 12TB 約6TB
8TB × 2台 16TB 約8TB

表だけを見ると、「半分も使えなくなる」と感じるかもしれません。

ただ、失われているというより、もう1台分の容量をHDD故障への備えに使っています。

HDDが1台故障しても、もう1台に同じデータが残っている状態を作るための容量です。

4TBと8TBを組み合わせたら8TB使える?

一般的なRAID1では、容量の違うHDDを組み合わせても、大きい方の容量を全部使えるわけではありません。

たとえば4TBと8TBの2台でRAID1を組む場合、4TB側にも同じデータを保存できる必要があります。

そのため、RAID1として使える容量は基本的に小さい方の4TBが基準になります。

HDD 1 HDD 2 RAID1で使える容量の目安
4TB 4TB 約4TB
4TB 8TB 約4TB
8TB 8TB 約8TB

8TB HDDの余った領域を別用途へ使えるかどうかは、NASやRAID方式によって異なります。

初めてRAID1を組むなら、同じ容量のHDDを2台そろえる方が分かりやすいです。

HDDそのものを選ぶときは、容量だけでなくNAS側の対応表も確認してください。NAS用HDDと普通のHDDの違いで、24時間稼働・CMR/SMR・対応HDDの見方をまとめています。

RAID1にすることで何を買っているのか

RAID1では、使える容量だけを見るとHDD1台構成より割高になります。

それでもRAID1を選ぶ理由は、保存容量を増やすためではありません。

HDDが1台故障したときに、もう1台からデータへアクセスできる状態を作るためです。

つまり追加したHDD1台分の費用で買っているのは、「容量」ではなく「HDD1台の故障への備え」と考えると分かりやすくなります。

毎日使う共有フォルダや、家族全員の写真をまとめているNASなど、HDD1台の故障ですぐ使えなくなると困る場合には意味があります。

一方で、NASが数日使えなくなっても問題なく、別のバックアップから戻せればよいのであれば、必ずしもRAID1が最優先とは限りません。

RAID1にすると、維持費も少し増える

購入時だけでなく、長く使う場合の費用も少し変わります。

HDDが1台増えるので消費電力も増える

HDDを2台動かすため、1台構成より消費電力は増えます。

実際の差はNAS本体やHDD、スリープ設定などによって変わるため、電気代だけを理由にRAID1を避ける必要はありません。

ただし、24時間動かすNASでは「HDDが1台増えれば、ランニングコストも少し増える」という点は知っておいてよいでしょう。

故障したHDDを交換する費用も考えておく

RAID1ではHDDが1台故障しても、残った1台から動作を続けられることがあります。

ただし、そのまま放置するのではなく、故障したHDDを交換してRAIDを再構築する必要があります。

そのときには交換用HDDの購入費が発生します。

業務で使うNASなど、交換までの時間を短くしたい場合は、予備のHDDを用意しておく考え方もあります。

家庭用途なら、必ず予備を在庫しておく必要まではありません。故障時に入手できる対応HDDを確認しておく程度でも十分です。

RAID1だからバックアップ代が不要になるわけではない

ここは費用を考えるときに特に重要です。

RAID1にHDDを2台使ったからといって、バックアップをなくせるわけではありません。

RAID1が主に備えるのはHDD1台の故障です。

ファイルの誤削除や上書き、NAS本体の故障、ランサムウェア、火災や水害などでは、RAID1の2台が同時に影響を受けることがあります。

そのため、大切なデータならRAID1とは別にバックアップ先も考えます。

つまり、データ保護まで含めた総額では、

  • 2ベイNAS
  • HDD 2台
  • 必要なら外付けHDDやクラウドなどのバックアップ

という構成になることがあります。

「HDDを2台買ったからもう安心」ではない点には注意してください。

家庭用NASのバックアップ方法は、家庭用NASのバックアップはどうする?で整理しています。

1台構成とRAID1、どちらが向いている?

最後に、費用と用途からシンプルに分けてみます。

HDD1台構成が向きやすい人

  • 初期費用を抑えたい
  • NASが一時的に止まっても大きく困らない
  • 外付けHDDやクラウドへ別バックアップを持っている
  • 家庭で写真やPCバックアップをまとめるところから始めたい

1ベイNASは構成が分かりやすく、本体価格も抑えやすいのがメリットです。

RAID1がないから危険、というわけではありません。大切なデータを別の場所にも残しておけば、シンプルな1台構成が合う人もいます。

RAID1が向きやすい人

  • HDDが1台故障してもNASを使い続けやすくしたい
  • 家族や複数人が日常的にNASへアクセスする
  • 共有フォルダが止まる時間をできるだけ短くしたい
  • HDD1台分と2ベイNASの追加費用を許容できる

RAID1は「容量を増やすため」ではなく、「HDD1台故障への耐性を持たせるため」に選ぶ構成です。

まとめ:RAID1の追加費用は「HDD1台分+必要なら2ベイ本体の差額」

RAID1にするといくら高くなるのかは、何と比較するかで変わります。

すでに2ベイNASを持っていてHDDを1台追加するだけなら、追加費用は基本的にHDD1台分です。

一方、これから1ベイNASと2ベイRAID1構成を比較するなら、HDD1台分に加えてNAS本体の価格差もあります。

そして容量は、4TBを2台買ったから8TB使えるのではなく、RAID1なら約4TBです。

追加費用で得ているのは保存容量ではなく、HDDが1台故障してもデータへアクセスしやすい状態です。

RAID1を選ぶときは、次の3点をセットで考えると迷いにくくなります。

  1. HDD1台の故障でNASが止まると困るか
  2. 必要な保存容量は何TBか
  3. 2ベイNASとHDD2台分の費用をかける価値があるか

RAID1の役割とバックアップの役割を分けて考えれば、「HDDを2台買う意味」も分かりやすくなります。