USBハブを探していると、

「バスパワー」 「セルフパワー」

という表記が出てきます。

名前だけでは分かりにくいですが、違いはかなりシンプルです。

バスパワーは、PCのUSBポートからハブ自身と接続機器の電力を受け取る方式。

セルフパワーは、ACアダプターなど外部電源からUSBハブへ電力を供給する方式です。

そのため、

  • マウス
  • キーボード
  • USBレシーバー
  • USBメモリ

など、比較的消費電力の小さい機器を数台つなぐだけなら、バスパワー型で十分なことが多いです。

一方、

  • USBから電源を取るポータブルHDD
  • 外付け光学ドライブ
  • Webカメラなどを複数台
  • 電力を多く使うUSB機器をまとめる

といった使い方では、セルフパワー型を検討する意味が出てきます。

大事なのは、ポート数だけで決めないことです。

「4ポートだからバスパワー」「7ポートだからセルフパワー」という決まりではありません。

先に結論:軽い機器ならバスパワー、電力が不安ならセルフパワー

ざっくり分けると次のように考えられます。

使い方 向いている方式
マウス・キーボード・USBレシーバーを増やしたい バスパワーで十分なことが多い
USBメモリやカードリーダーをときどき使う バスパワーで十分なことが多い
ポータブルHDDなどUSBから電源を取る機器を使う セルフパワーを検討
消費電力の大きいUSB機器を複数まとめる セルフパワーが安心
持ち歩きたい・コンセントを増やしたくない バスパワーが便利
デスクへ常設して安定性を優先したい セルフパワーを選びやすい

サンワサプライやバッファローも、バスパワー型はPC側USBポートから電源を受け、セルフパワー型はACアダプターから電源を取る方式として案内しています。

バスパワーとは?PCのUSBポートから電源を分けてもらう

バスパワー型USBハブには、基本的に専用ACアダプターがありません。

PCとUSBケーブルでつなぐと、

PCのUSBポート ↓ USBハブ ↓ 接続したUSB機器

という経路で電力が供給されます。

メリットは分かりやすく、

  • ACアダプターがいらない
  • コンセントを使わない
  • 配線が少ない
  • 小型で持ち歩きやすい

ことです。

ノートPCと一緒に持ち歩き、

  • マウス
  • キーボード
  • USBレシーバー
  • USBメモリ

などを追加するなら、かなり扱いやすい方式です。

電力はハブの先で無限に増えるわけではない

バスパワー型で注意したいのは、PC側から受け取れる電力の範囲でハブ自身と接続機器を動かすことです。

USBポートを4つに増やしたからといって、PCから受け取れる電力まで4倍になるわけではありません。

接続した機器の消費電力が増えると、電力が足りなくなる場合があります。

セルフパワーとは?USBハブ自身に外部電源を入れる

セルフパワー型は、USBハブへACアダプターなどの外部電源を接続して使います。

PCとのUSB接続はデータ通信に使いつつ、USB機器へ供給する電力を外部電源側から確保しやすくなります。

そのため、

  • USBから電力を取る機器を複数使う
  • バスパワー型では認識が不安定
  • デスクへ常設して使う
  • ポート数の多いハブへ複数機器をまとめる

といった場面で選びやすい方式です。

弱点は、

  • ACアダプターが増える
  • コンセントが必要
  • 持ち歩きには少し面倒
  • バスパワー型より大きくなりやすい

ことです。

つまり、セルフパワーが上位互換というより、用途が違います。

ポート数ではなく「USBから電源を取る機器が何台あるか」を見る

USBハブを選ぶときに見たいのは、接続台数だけではありません。

たとえば、

  • マウス
  • キーボード
  • USBレシーバー
  • プリンター

を4台つなぐ場合。

プリンターが自分のAC電源を持っているなら、プリンターの動作用電力までUSBハブから供給しているわけではありません。

USBハブ側から見ると、電力負荷は「4台全部がUSBから電源を取る構成」とは違います。

逆に、

  • ポータブルHDD
  • USB接続の光学ドライブ
  • Webカメラ
  • USBオーディオ機器

など、USBから給電される機器を複数まとめると、少ない台数でも電力条件が厳しくなることがあります。

なので、

「何台つなぐか」

だけでなく、

「その中にUSBから電源を取る機器が何台あるか」

を見る方が実用的です。

電力不足だと、どんな症状が出る?

バスパワー型USBハブで電力が足りない場合、必ず「電力不足です」と分かりやすく表示されるとは限りません。

症状としては、

  • USB機器を認識しない
  • つないだ直後だけ認識する
  • 途中で切断される
  • 複数機器をつなぐと1台だけ消える
  • 外付けHDDが安定しない
  • Webカメラやオーディオ機器が不安定になる

などが考えられます。

もちろん、こうした症状は電力不足だけが原因ではありません。

USBケーブル、USBハブ自体、ドライバー、接触不良、USBの帯域などでも似た症状は起こります。

ただ、

「機器を減らすと安定する」 「PCへ直接つなぐと安定する」 「ACアダプターをつないだセルフパワーモードなら安定する」

という場合は、電力条件を疑う材料になります。

迷ったら、一度PCへ直接つないで比べる

USB機器が不安定なときは、いきなりセルフパワー型USBハブを買う必要はありません。

まず問題の機器をPC本体のUSBポートへ直接つないでみます。

直結なら安定する

USBハブ経由の、

  • 電力
  • ケーブル
  • ハブ本体
  • 多段接続
  • 帯域共有

などを確認する理由が強くなります。

直結でも不安定

USBハブの電源方式だけが原因とは考えにくくなります。

機器そのもの、USBケーブル、PC側USBポート、ドライバーなども確認します。

USBハブを何段もつないでいる場合は、USBハブを何段もつないで大丈夫?で接続経路の整理方法も確認できます。

セルフパワーにすれば通信速度も上がる?

基本的には別の話です。

セルフパワー型にすると電力供給を安定させやすくなりますが、USBの通信規格や上流ポートの帯域が増えるわけではありません。

たとえばUSB 5Gbpsのハブなら、ACアダプターをつないだから突然10Gbpsになることはありません。

同じUSBハブの配下で、

  • 外付けSSD
  • Webカメラ
  • USB-LANアダプター

などを同時に使えば、通信帯域を共有することもあります。

つまり、

電力が足りない → セルフパワーで改善する可能性がある

通信帯域が足りない → セルフパワーだけでは解決しない

と分けて考えます。

USB-Cの「PD入力」があるハブはセルフパワー?

ここは最近のUSB-Cハブで少し分かりにくいところです。

USB-Cハブには、USB PD充電器を接続するための「PD入力」ポートを持つ製品があります。

ただし、

「PD入力がある」 = 「一般的なセルフパワーUSBハブとまったく同じ」

と単純には考えない方が安全です。

USB-Cハブでは、入力した電力の一部をノートPCへパススルーして充電することを主目的にしている製品もあります。

そのため、

  • PCへ最大何W給電できるか
  • ハブ自身が何W使うか
  • USB-A / USB-Cデータポートから何W供給できるか

は製品ごとに確認が必要です。

「100W PD対応」と書いてあるだけで、すべてのUSB機器へ大きな電力を自由に分配できるわけではありません。

USB-Cハブ経由でノートPCの充電が遅くなる仕組みは、USB-Cハブにつなぐと充電が遅くなるのはなぜ?で整理しています。

スマートフォンを充電したいなら「セルフパワー」だけでは判断しない

USBハブのポートへスマートフォンを挿して充電したい場合も、セルフパワーかどうかだけでは判断できません。

製品によって、

  • データ通信用ポート
  • 充電対応ポート
  • USB BC対応
  • USB PD対応
  • PC電源オフ時も給電できるポート

など仕様が違います。

セルフパワー型だから、すべてのポートが急速充電器と同じように使えるとは限りません。

充電目的なら、USBハブの商品仕様にある出力W数や充電規格まで確認してください。

セルフパワー / バスパワー両対応ならどう使う?

製品によっては、ACアダプターを接続するとセルフパワー、外すとバスパワーとして使えるものがあります。

このタイプなら、

外出時 → ACアダプターなしでマウスやUSBメモリ中心

デスク → ACアダプターを接続して複数機器を常設

という使い分けができます。

ただし、ACアダプターなしで何でも同じように動くわけではありません。

バスパワーモードでは接続できる機器や供給できる電力に制約がある製品もあるため、メーカー仕様を確認してください。

どっちを選ぶ?4パターンで考える

マウス・キーボード・USBレシーバー中心

バスパワー型で十分なことが多いです。

ACアダプターがなく、配線も少なくできます。

USBメモリ・カードリーダーをときどき使う

これもバスパワーから考えてよいでしょう。

ただし、同時に多数のUSB機器を使うなら全体の構成も確認します。

ポータブルHDDなどUSB給電機器を安定して使いたい

セルフパワー型を検討します。

特に他のUSB給電機器も同じハブへまとめるなら、外部電源がある方が余裕を持たせやすくなります。

デスクへ多数のUSB機器を常設する

セルフパワー型が扱いやすいです。

ポート数だけでなく、

  • USBの転送速度
  • PCとの接続端子
  • 各ポートの給電仕様
  • ACアダプターの出力
  • 必要なら個別スイッチ

まで確認します。

単にUSBポートを増やすだけでなく、映像・LAN・充電までまとめたい場合は、USB-Cハブとドッキングステーションの違いも参考にしてください。

まとめ:電源方式は「何をつなぐか」で選ぶ

USBハブのセルフパワーとバスパワーの違いは、ハブの電源をどこから取るかです。

バスパワー → PCのUSBポートから電力を受ける

セルフパワー → ACアダプターなど外部電源を使う

選ぶときは、ポート数だけではなく、接続する機器がUSBからどれだけ電力を必要とするかを見ます。

マウス・キーボード・USBレシーバーなどが中心なら、バスパワーで十分なことが多いです。

一方、ポータブルHDDなどUSBから電源を取る機器や、複数のUSB給電機器をまとめるなら、セルフパワーを検討する意味があります。

そしてセルフパワーにしても、通信帯域まで増えるわけではありません。

USB機器が不安定なら、

  1. 一度PCへ直接つなぐ
  2. 機器を減らして試す
  3. USBハブの電源方式を確認する
  4. ケーブル・多段接続・帯域も切り分ける

という順で見ていくと、原因を絞りやすくなります。