USBポートが足りなくなると、USBハブの空いているポートへ、さらに別のUSBハブをつなぎたくなることがあります。
結論からいうと、USBハブは途中のハブを最大5段まで重ねられるというのが基本です。
USB-IFのUSB 2.0系コンプライアンステスト資料では、root portを含めずハブを最大5レベルまでネストできるとされています。現在のUSB 3.2向けxHCI相互接続テストでも、ハブのtier上限は5です。
つまり、USB 2.0でもUSB 3.xでも「USBハブを何段まで重ねられる?」という問いへの答えは、まず5段までと考えてよいでしょう。
ただし、ここで少しややこしいのが、5段とは目の前に外付けUSBハブが5個並んでいる状態だけを指すわけではないことです。
モニターやドッキングステーション、キーボードなどの中にUSBハブが組み込まれている場合、そのハブも接続経路の一部になります。
この記事では、5段の数え方を整理したうえで、実際にどういう構成で5段近くまで深くなるのか、仕事用PCならどう整理すると扱いやすいのかまで見ていきます。
先に結論:USB 2.0でもUSB 3.xでも、ハブは5段まで
USB-IFの資料では、USBハブはroot portを除いて最大5段までネストできるとされています。
USB 3.2向けのxHCI相互接続テストでも、SuperSpeedPlus・SuperSpeed・Hi-Speed・Full-Speedを含む構成で、5 levels of nested hubsがmaximum allowedと明記されています。
したがって、
USB 2.0は5段、USB 3.xはもっと多くつなげる
という整理ではありません。
USB 3.xでも、ハブの段数上限として見る数字は5です。
「USBは7段まで」という説明も見かけるけど?
ネットでは「USBは7段まで」という説明を見かけることもあります。
これは、USBトポロジー全体のtier数と、途中に置けるハブの数を同じものとして数えているケースがあります。
USB 2.0のトポロジーを考えると、概念的には、
Host / Root
↓
Hub 1
↓
Hub 2
↓
Hub 3
↓
Hub 4
↓
Hub 5
↓
USB Device
となります。
ホスト側と最後のUSB機器まで含めれば全体の階層は7になりますが、途中に存在するハブは5段です。
この記事では「USBハブを何個まで重ねられるか」という疑問に合わせて、最大5段と表現します。
USB 3.xハブがWindowsで「2つ」見えるのはなぜ?
USB 3.xには、もう一つ混乱しやすいポイントがあります。
Microsoftによると、USB 3.0ハブは、
- USB 2.0までの機器を扱うハブ
- SuperSpeed機器を扱うハブ
という2つのハブ実装を持っています。
そのため、USB 3.xハブを1台しかつないでいなくても、Windowsのデバイスマネージャーでは2つのハブが表示されることがあります。
ただし、これはUSB 3.xハブ1台で2段を消費するという意味ではありません。
USB 2.0機器とSuperSpeed機器が、それぞれ対応する側の経路へ振り分けられる仕組みです。1台のUSB機器が、この2つのハブを直列に順番に通るわけではありません。
「デバイスマネージャーにハブが2個見えるから、残りは3段」と単純に数えないようにしてください。
「5段」は外付けUSBハブを5箱並べる話だけではない
ここが、実際の仕事環境では一番見落としやすいところです。
USBハブは、単体のUSBハブだけに入っているとは限りません。
たとえば、
- USB-Cドッキングステーション
- USB端子付きモニター
- USB端子付きキーボード
- 複合型の周辺機器
- PCやコントローラー内部の構成
などにハブが組み込まれている場合があります。
USB-IFの資料でも、ハブが機器へ組み込まれたcompound deviceや、内部デバイスがさらにハブである構成が想定されています。
つまり、見た目ではUSBハブを2台しか使っていなくても、目的のUSB機器までの経路にはもっと多くのハブが存在している可能性があります。
たとえば、気づいたら5段近くなっている構成
各機器の内部に1段のハブがあると仮定した構成例です。
PC
└ USB-Cドッキングステーション ← 1段目
└ USBハブ機能付きモニター ← 2段目
└ デスク上のUSBハブ ← 3段目
└ USBハブ付きキーボード ← 4段目
└ 小型USBハブ ← 5段目
└ マウス
最初から「5段構成を作ろう」と考える人はあまりいないでしょう。
ただ、実際のデスクでは、
- ノートPCをドックへまとめる
- モニターのUSB端子も使う
- 手元にUSBポートが欲しくなりハブを追加する
- USBポート付きキーボードへ交換する
- もう1ポート欲しくなり小型ハブを足す
というように、機器交換や継ぎ足しの結果として接続が深くなることがあります。
しかも、モニターやキーボード内部のハブは、外から見ただけでは「1段使っている」という感覚がありません。
これが「USBハブをそんなに増やしていないのに、思ったより構成が複雑」という状態につながります。
※すべてのドック・モニター・キーボードが必ず1段のUSBハブを内蔵しているわけではありません。実際の内部構成は製品によって異なります。
JOSYSなら、5段を数えるだけでなく「この構成を減らせないか」を見る
上の5段構成でマウスが使えているなら、すぐに全部外す必要はありません。
ただ、会社で常設する構成なら、一度「なぜこれだけ多段になっているのか」を見直す価値があります。
たとえば、先ほどの構成を、
PC
└ 電源付きドッキングステーション
├ 外付けSSD
├ Webカメラ
├ USB-LANアダプター
└ USBハブ機能付きモニター
├ キーボード
└ マウス
くらいへ整理できれば、目的の機器までの経路はかなり単純になります。
ポイントは、
- 必要ポート数を持つハブやドックへ集約する
- 外付けSSD・Webカメラ・USB-LANなど重要・高帯域機器は上流側へつなぐ
- キーボード・マウスなど比較的軽い機器は下流へまとめる
- 「もう1ポート欲しい」だけでハブを継ぎ足し続けない
ことです。
USB-Cハブとドッキングステーションの違いは、USB-Cハブとドッキングステーションの違い|仕事用ならどっち?で整理しています。
多段接続では、段数より先に電力で困ることもある
USBハブには、大きく分けて、
- PCのUSBポートから電力を受けるバスパワー型
- ACアダプターなど外部電源を使うセルフパワー型
があります。
バスパワーのハブを重ね、その先へさらに複数のUSB機器をつなぐと、上流から供給される電力をハブ自身と各機器で使います。
そのため、
- 外付けHDD / SSD
- Webカメラ
- キャプチャーデバイス
- USBオーディオ機器
- スマートフォンなど給電も行う機器
をまとめたときに、認識が不安定になったり、接続が切れたりする原因の一つになります。
セルフパワー型へ替えることで電力不足を改善できる場合はありますが、段数上限や帯域、接点の増加までなくなるわけではありません。
USB-Cハブ経由の充電が遅い場合は、USB-Cハブにつなぐと充電が遅くなるのはなぜ?で電力経路の見方を詳しく整理しています。
ポートは増えても、USBの通信帯域まで増えるわけではない
USBハブを追加すると差し込み口は増えます。
しかし、同じ上流経路につながった機器は、そのUSBバスの帯域を共有します。
特に、
- 外付けSSDで大きなファイルを転送する
- 高解像度Webカメラを使う
- USB-LANアダプターで大容量通信する
- キャプチャーデバイスで映像を取り込む
といった機器を同じ経路へ集中させると、ポート数には余裕があっても通信側がボトルネックになることがあります。
逆に、キーボード・マウス・小型USBレシーバーなどは通信量が比較的小さいため、下流側へまとめやすい機器です。
また、途中にUSB 2.0ハブが入っていれば、その先へUSB 3.x対応ハブを追加しても、その経路が突然USB 3.x相当へ速くなるわけではありません。
多段接続では、一番下の機器だけでなく、PCまでの途中に何が入っているかを見る必要があります。
JOSYS目線では、壊れたときに「どこが悪いか分かる構成」にしておきたい
多段接続の地味な問題は、トラブル時の切り分けです。
たとえば、
PC
└ ドック
└ モニター内蔵ハブ
└ USBハブ
└ Webカメラ
でWebカメラが認識しなくなった場合、原因候補はWebカメラだけではありません。
途中の、
- USBハブ
- ハブとモニターの接続
- モニター側のUSBハブ
- モニターとドックの接続
- ドック
- PCとドックの接続
- PC側USBポート
まで候補になります。
自分の固定席なら把握できていても、会社の共用PCや会議室では、
「このUSBケーブル、どこにつながってる?」
「前からこうなっていたので分かりません」
となりやすいところです。
多段接続の一番地味なコストは、未来のトラブル対応を難しくすることだと考えています。
不安定になったら、直結から1段ずつ戻す
すでに多段接続していて、
- ときどき認識しない
- スリープ復帰後だけ消える
- 外付けSSDの速度が安定しない
- Webカメラが途中で切れる
- USB機器を追加すると別の機器が落ちる
といった症状があるなら、まず問題の機器をPCへ直接つないでみます。
直結で安定するなら、そのあと、
- PCへ直結
- 1段目のハブだけ経由
- 2段目まで戻す
- 他のUSB機器を1台ずつ戻す
という順で元の構成へ近づけると、どこで問題が出るか見つけやすくなります。
これは情シス側でUSBトラブルを切り分けるときにも使いやすい方法です。
共用デスクでは、内蔵ハブまで完璧に図にしなくても「つなぎ先」は残す
フリーアドレス席、会議室、受付PC、検査・計測用PCなどでは、配線を組んだ本人以外が触ることがあります。
USB内部のトポロジーまで詳細な資料にする必要はありません。
それでも、
- ハブに「PC接続」「Webカメラ」「LAN」など小さくラベルを貼る
- ACアダプターと本体を同じ番号にする
- 共用席だけ簡単な接続写真を残す
- 使っていないハブやケーブルを撤去する
程度でも、トラブル時の確認はかなり楽になります。
デスク全体の配線が増えている場合は、デスク配線をすっきり整理する方法も合わせて確認してください。
まとめ:答えは5段。ただし「見えているUSBハブの数」だけでは判断しにくい
USBハブを何段まで重ねられるかという問いへの答えは、USB 2.0でもUSB 3.xでも基本は5段までです。
「7段」という説明を見かけることがありますが、USBトポロジー全体のtier数と、途中のハブ数は分けて考える必要があります。
そして実際のPCでは、外付けUSBハブだけでなく、ドック・モニター・キーボードなどの内部にもハブが存在する場合があります。
そのため、5段近い構成は「USBハブを5個買って並べたとき」だけに起きるわけではありません。
機器の追加や交換を繰り返した結果、気づかないうちに接続が深くなることがあります。
仕事用PCなら、
- 必要ポート数を持つハブやドックへ集約する
- 高帯域・重要機器を上流へ置く
- 軽い機器を下流へまとめる
- 不安定なら直結から1段ずつ戻して確認する
という整理をしておくと、あとで困りにくくなります。
USBハブは5段までつなげる。ただ、JOSYS目線では「何段使えるか」だけでなく、「なぜその段数になっているか」まで見ておきたいところです。
すでに今の構成で安定して使えているなら、多段接続だけを理由に買い替える必要はありません。ハブを追加する予定がある、電力不足が疑わしい、配線が追えなくなってきた、といったタイミングで集約を検討すれば十分です。
USBだけを増やしたいのか、映像・LAN・電源までまとめたいのかで選択肢は変わります。違いはUSB-Cハブとドッキングステーションの違いでも整理しています。












