「あっ、消した。」

会社の共有フォルダで必要なExcelやPDFを間違えて削除してしまうと、かなり焦ります。

しかもデスクトップのWindowsごみ箱を開いても、削除したファイルが見つからないことがあります。

ですが、その時点で復元できないと決まったわけではありません。

会社の共有フォルダでは、ファイルが置かれている場所によって、

  • NAS側のごみ箱
  • Windows Serverの「以前のバージョン」
  • NASのスナップショット
  • バックアップ
  • SharePointやTeams側のごみ箱

など、別の場所から戻せる可能性があります。

この記事では、難しい復旧作業ではなく、誤削除に気づいた直後に何を確認すればよいかを順番に整理します。

先に結論:会社なら、まず管理者へ確認するのが一番早い

共有フォルダのファイルを消してしまったとき、最初にやることは意外とシンプルです。

1. ファイル名と保存してあった場所を確認する

2. だいたい何時ごろ削除したか覚えておく

3. 情シスや共有フォルダの管理担当がいるなら、早めに連絡する

4. NASや共有フォルダのごみ箱を確認する

5. 「以前のバージョン」やスナップショットが使えないか確認する

6. 最後にバックアップから戻せないか確認する

特に会社で管理されている共有フォルダなら、自己判断で設定を変更するより、情シスやサーバー・NASの管理担当へ連絡する方が早いことがあります。

「○○部の共有フォルダにあった、△△.xlsxを15時ごろ削除してしまいました」

これだけでも、管理者はかなり調べやすくなります。

まず、同じ名前のファイルを慌てて作り直さない

削除したことに気づくと、急いで同じ名前のExcelを作り直したくなるかもしれません。

ですが、復元する前に同じ場所へ同名ファイルを作ると、どちらが元のファイルなのか分かりにくくなります。

スナップショットやバックアップから戻すときにも、現在のファイルと復元するファイルがぶつかることがあります。

まずは、

  • 元のファイル名
  • 保存してあったフォルダ
  • 削除した時刻のおおよそ
  • 最後に編集した日時のおおよそ

をメモしておきましょう。

同じフォルダで大量の移動・削除・名前変更を続けるのも、状況が分かりにくくなるので一度止めた方が安全です。

一般的な共有フォルダでは、自分のPCのごみ箱には入らない

自分のPC内に保存したファイルを削除した場合は、通常はWindowsのごみ箱から戻せます。

一方、Windowsの一般的なネットワーク共有(SMB)やNASの共有フォルダ上にあるファイルを削除しても、そのファイルは自分のPCのWindowsごみ箱には通常入りません。

そのため、共有フォルダから消したファイルを探すときは、自分のPCのごみ箱ではなく、ファイルを保存しているNASやサーバー側の仕組みを確認します。

ただし、NASやサーバー側で独自のごみ箱機能が有効になっている場合や、フォルダーリダイレクトなど特殊な構成では、保存先側のごみ箱に残ることがあります。

つまり、「自分のPCのごみ箱にない=完全に消えた」ではありません。

次から、保存先側で確認できる場所を順番に見ていきます。

1. NASの「ごみ箱」を確認する

NASを使った共有フォルダでは、機種や設定によってNAS側にごみ箱機能があります。

たとえば共有フォルダの中に、

  • trashbox
  • #recycle
  • ごみ箱

のような名前のフォルダが作られ、削除したファイルが一時的に残る仕組みです。

見つかった場合は、削除したファイルを元のフォルダへ戻すか、いったん別の安全な場所へコピーします。

ただし、ごみ箱機能はNASによって動きが違います。

  • そもそも有効になっていない
  • 共有フォルダごとに設定が違う
  • SMBで削除した場合だけごみ箱に入る
  • 管理者しか確認できない
  • 一定期間で削除される、または容量管理が必要

といった場合があります。

そのため、見当たらなければ設定を勝手に変えるより、NASの管理者へ確認してください。

また、削除したあとからごみ箱機能を有効にしても、すでに消したファイルが戻ってくるわけではありません。

2. Windowsの「以前のバージョン」を確認する

会社の共有フォルダがWindows Serverなどで管理され、過去の状態を保存する機能が有効になっている場合、エクスプローラーから「以前のバージョン」を確認できることがあります。

削除したファイルそのものが見えなくなっている場合は、そのファイルが入っていた親フォルダを確認します。

  1. 削除したファイルが入っていたフォルダを右クリック
  2. 「プロパティ」を開く
  3. 「以前のバージョン」が表示されるか確認
  4. 削除前の日時のフォルダを開く
  5. 目的のファイルがあれば、まず別の場所へコピーして中身を確認

ここで大事なのは、いきなりフォルダ全体を過去の状態へ戻さないことです。

共有フォルダでは、削除後にもほかの社員が新しいファイルを追加・更新している可能性があります。

フォルダ全体を過去へ戻すと、その後の変更に影響するおそれがあります。

1ファイルだけ必要なら、過去の状態を「開く」または参照して、必要なファイルだけ取り出す方が分かりやすいです。

なお、「以前のバージョン」が表示されない場合もあります。

これは操作を間違えているとは限らず、サーバー側で過去の状態を保存する設定がされていない、利用者には見えない、NAS側の別機能で管理している、といった可能性があります。

管理者向け:「以前のバージョン」を使えるようにしておくには

共有フォルダがWindows Server上にある場合、「以前のバージョン」は利用者のPC側で有効にするものではありません。

共有データを保存しているサーバー側で、管理者がシャドウコピーを事前に有効にしておく必要があります。

Windows Serverのバージョンや管理方法によって画面の入口は少し異なりますが、考え方は次のとおりです。

  1. 管理者権限でWindows Serverの管理画面を開く
  2. 共有フォルダのデータが入っているボリュームを確認する
  3. そのボリュームの「シャドウ コピー」設定を開く
  4. シャドウコピーの保存領域やスケジュールを確認する
  5. 対象ボリュームでシャドウコピーを有効にする
  6. クライアントPCから共有フォルダを右クリックし、「以前のバージョン」が確認できるかテストする

ポイントは、削除事故が起きる前から有効にしておくことです。

ファイルを削除したあとで初めてシャドウコピーを有効にしても、削除前の状態が新しく作られるわけではありません。

また、シャドウコピーの保存領域がいっぱいになれば古い世代が消えることもあるため、「有効にしたら終わり」ではなく、どのくらいの期間・頻度で残すかも確認しておきます。

会社の共有フォルダでこの機能を使いたい場合は、一般利用者が設定を変更するのではなく、サーバー管理者へ「以前のバージョンを使えるようにシャドウコピーを残せるか」と相談するのが安全です。

シャドウコピーを使っていない環境では、次のスナップショットやバックアップを確認します。

3. NASのスナップショットから戻せないか確認する

NASによっては、共有フォルダの状態を一定間隔で保存する「スナップショット」機能があります。

たとえば、

  • 13時時点
  • 14時時点
  • 15時時点

のように過去の状態が残っていれば、15時30分に削除したファイルを15時時点の状態から取り出せる可能性があります。

スナップショットは誤削除だけでなく、

  • ファイルを上書きしてしまった
  • Excelを壊して保存してしまった
  • フォルダごと削除してしまった

といった場合にも役立ちます。

ただし、スナップショットの設定・確認・復元は管理者向け画面から行うNASも多くあります。

会社で使っているNASなら、無理に管理画面へ入ろうとせず、管理担当へ「削除した時刻より前のスナップショットが残っていないか」を確認してもらうのが安全です。

4. バックアップから復元する

ごみ箱やスナップショットに残っていなくても、別の場所へバックアップしていれば復元できる可能性があります。

たとえば、

  • NAS → USB外付けHDD
  • ファイルサーバー → 別のNAS
  • NAS → クラウド
  • サーバー → バックアップシステム

などです。

ここでは、最新バックアップがいつ取られたかが重要になります。

たとえば今日15時に削除し、毎晩1回バックアップしているなら、昨夜時点のファイルは残っているかもしれません。

一方、その日の午前中に更新した内容までは戻らない可能性があります。

復元できたら、ファイル名だけでなく中身や更新日時も確認してください。

「バックアップが存在すること」と「必要な状態のファイルが戻せること」は別です。

バックアップを普段から確認する方法は、バックアップがちゃんと取れているか確認する方法で詳しく整理しています。

RAID1は誤削除から守る仕組みではない

RAID1の主な目的は、HDDが1台故障したときに備えることです。

誤ってファイルを削除したときに、削除前の状態へ戻すための仕組みではありません。

RAID1では同じデータを2台のHDDへ持つため、ファイルの削除も正常な変更として両方へ反映されます。片方のHDDだけに削除前のファイルが残るわけではありません。

そのため、RAID1だけで削除前の状態へ戻すことはできません。

もしRAID1構成のNASで削除したファイルを戻せた場合、それはRAID1の機能ではなく、NASのごみ箱・スナップショット・バックアップなど別の仕組みから復元できたということです。

誤削除に備えるなら、RAID1とは別に、ごみ箱・スナップショット・バックアップなどを用意します。

この違いは、RAID1とバックアップの違いでも初心者向けに解説しています。

Teams・SharePointの「共有ファイル」なら確認場所が違う

会社で「共有フォルダ」と呼んでいても、実際にはNASではなくMicrosoft TeamsやSharePointに保存されている場合があります。

この場合は、Windowsの共有フォルダとは確認場所が違います。

Teamsのチャネルにあるファイルは、SharePoint側で管理されているため、削除されたファイルをSharePointのごみ箱から戻せる場合があります。

Teamsであれば、対象チャネルのファイル・共有画面から「SharePointで開く」へ進み、SharePoint側のごみ箱を確認します。

OneDriveの会社アカウントにあるファイルなら、OneDriveのWeb画面にあるごみ箱を確認します。

自分では見えなくても、管理者側のごみ箱から戻せる場合もあるため、仕事の重要ファイルなら早めに管理者へ相談してください。

「システムの復元」を使えば戻る?

Windowsには「システムの復元」という機能もありますが、今回のような共有フォルダのファイル復元とは別の機能です。

PC全体の復元ポイントを戻せば共有フォルダの削除ファイルも戻る、というものではありません。

この記事で確認したい「以前のバージョン」は、共有フォルダや保存先側に過去の状態が残っている場合に利用するものです。

名前が似ているので混同しないようにしてください。

どこにも残っていなかったらどうする?

ここまで確認して、

  • ごみ箱なし
  • 以前のバージョンなし
  • スナップショットなし
  • バックアップなし

という場合は、一般利用者が自分のPCへ復元ソフトを入れても、共有フォルダのNASやサーバーを直接復旧できるとは限りません。

重要な業務データなら、それ以上触る前に管理者へ相談してください。

NAS本体の故障やストレージからのデータ復旧が必要な状況では、初期化・フォーマット・RAIDの再構築などを自己判断で行うと、復旧を難しくする可能性があります。

必要に応じてメーカーサポートやデータ復旧サービスへの相談を検討します。

復元できたあとに、1つだけ確認しておきたい

無事に戻せたら、「よかった」で終わっても構いません。

ただ、同じことが起きたときに毎回大騒ぎしなくて済むよう、どの仕組みから戻せたかだけ残しておくと役立ちます。

たとえば、

  • この共有フォルダはNASのごみ箱が有効
  • 1時間ごとにスナップショットがある
  • 毎晩外付けHDDへバックアップしている
  • 復元は情シスへ依頼する

という程度です。

そして大切な共有データなら、1つのNASやサーバーだけに頼らないことも考えます。

複数のコピーを別の媒体・場所に持つ考え方は、3-2-1バックアップとは?で整理しています。

どこへバックアップするか迷う場合は、外付けHDD・SSD・NAS・クラウド・DVD/Blu-rayの比較で、それぞれの向き・不向きを整理しています。

家庭用NASのバックアップ方法を知りたい場合は、家庭用NASのバックアップはどうする?も参考にしてください。

よくある疑問

ごみ箱にないなら完全に消えた?

まだ分かりません。

NAS側のごみ箱、以前のバージョン、スナップショット、バックアップ、SharePointなど別の場所に残っている可能性があります。

共有フォルダの「以前のバージョン」が出てこない

保存先側で過去の状態を残す設定がされていないか、利用者には表示されない構成の可能性があります。

Windows Serverの共有で今後使いたい場合は、管理者側でシャドウコピーを事前に有効にしておく必要があります。

管理者へ、シャドウコピー・スナップショット・バックアップがないか確認してください。

フォルダごと削除してしまった場合も戻せる?

ごみ箱やスナップショット、バックアップに削除前の状態が残っていれば、戻せる可能性があります。

大量のファイルを一括で戻す場合は、ほかの人が削除後に更新したデータへ影響しないよう、管理者と相談して復元範囲を決める方が安全です。

上書きしてしまった場合は?

削除ではなく上書きでも、「以前のバージョン」やスナップショット、世代を残すバックアップがあれば、過去の状態へ戻せる可能性があります。

誰が削除したか調べられる?

環境によります。

サーバーやNASで監査ログを事前に設定していれば確認できる場合がありますが、この記事の目的は犯人探しではなく、まず必要なファイルを戻すことです。

仕事を再開するために復元を優先し、その後必要なら管理者がログを確認する方がよいでしょう。

まとめ:まず「どこに残っているか」を順番に探す

共有フォルダのファイルを削除してしまっても、自分のPCのWindowsごみ箱にないだけで諦める必要はありません。

一般的なネットワーク共有では、自分のPCのごみ箱ではなく、保存先のNASやサーバー側に復元できる仕組みがないかを確認します。

まず、ファイル名・保存場所・削除した時間を確認し、会社なら情シスや管理担当へ早めに連絡します。

そのうえで、

  1. NASや共有フォルダ側のごみ箱
  2. Windowsの「以前のバージョン」
  3. NASやサーバーのスナップショット
  4. バックアップ
  5. Teams・SharePoint・OneDriveならサービス側のごみ箱

の順に確認してみてください。

大事なのは、慌てて設定を変えたり、同じ場所へ大量のファイルを書き込んだりすることではありません。

どこに過去のコピーが残っているかを、一つずつ確認することです。

そして復元できたら、次に同じことが起きたときのために「どこから戻せたか」だけでも社内で分かる状態にしておくと、次回の対応がかなり楽になります。